プロローグ
あれから三ヶ月。
武蔵野学園は何も変わらないな。
瓦造りの校舎から聞こえる修練する若者の声。
皆、汗を流し己を磨いている。
俺も三ヶ月前までここにいた。
門を潜った先にいたのはよく知った一人の少女の腰には日本刀。
以前より少し髪が伸びたな。
「遅かったね」
毛ほども待っていたなんて思っていないな…。
ま、らしいっちゃ、らしいな。
「手ぶらで帰ってきたから、てっきり怒られるかと思ったんだがな」
「その右手に持っているのは?」
「…お土産」
「なら、手ぶらじゃないじゃん」
いや、そういうことじゃなくてな。
って、土産に興味津々でこっちの話聞きそうにねぇな。
「無駄足じゃなかったんでしょ」
「どこ情報だよ」
「雰囲気かな?あまり残念そうに見えない」
「そうですか…」
何でわかるんだよ。エスパーかよ。
「はい、これ」
渡されたのは三ヶ月前に学園長に預けた学生手帳。
唯一、変わっているのは学年が二年生になっていることだ。
「ちゃんと進級出来ててよかったね」
「これでも優等生だからな」
「戦闘バカの間違いでしょ」
確かに学園の制度に助けれたが、今のは言い過ぎだろ。
事実だけど!
「ほら、いじけてないで、皆待ってるよ」
勝手に見透かして、こっちのことはお構いなし。
ホント、変わらないな。
雨宮陽斗も出水楓も。