Human greed
少しずつ非現実的な要素が含まれて来てます
暖かい目で見てくれたら幸いです
息を切らしながら逃げ切り、俺達は人通りの多い場所に着いた
もう何が何だから分からない
なんだよ…あの最後の…
___命でも奪いますよ?___
冷静な態度
大人びた姿
隠すような仕草
くすっと最後に笑ったあの表情
全てが記憶の中から離れる事はない
恐怖だった怖かった
あんな場所に二度と近付きたくない
初めてこんな感情に潰された
「はーちゃん…大丈夫??汗びっしょりだよ…??」
不安そうな声をあげている幼馴染みは、俺の顔を覗くように見詰めてくる
「嗚呼…大丈夫だ…それよりもみじ、お前の方こそ大丈夫か?」
俺に問い掛けて来たもみじは、足がガクガクと震えていて
力が抜けたのか俺が言葉を掛ければ、直ぐに地面に座り込んだ
「怖かった…あの子…ソフィアちゃんの目を見た瞬間…恐怖が出てきた」
「俺も同じだ…しかし何であんな子があそこに…しかもどう考えてもおかしいだろ」
もみじに目線を合わさながら俺は話す
もみじは涙を流しながら俺に目線を合わせ、話を続けた
「でも…ソフィアちゃんが言ってた事は嘘じゃないと私は思うの…あの子の言葉一つ一つ…嘘がない紛れもない真実だって…」
わかってる俺もそんなことはわかってる
嘘じゃないって事も
真実だって事も
だけど…だけど
それを信じたら何かがいけない気がする
数分俺達は話し合い、お互い落ち着けば
家に帰ることにした
もみじは一人にさせてといいそのまま帰り
俺も自分の家に帰ることにした
「ただいま-…」
俺の家は母さんと弟の3人暮らし
父さんは俺が小さい頃に亡くなっている
バタバタと廊下を走る音が響けば
「お兄ちゃんおかえりっ」
と元気良く迎えてくれる弟の双葉
小学5年生でまあ元気のいい弟
「ただいま双葉…母さんはまだか?」
「うんっ先にご飯食べててだって-!!」
俺の母さんは、俺達二人を養う為に昼と夜どちらも仕事をしている
だから基本的帰ってくるのは朝方か夜中
双葉にとっては甘えたい気持ちはあるみたいだけど、やはりそこは我慢してる
「わかったじゃあさっさと飯食うか?」
双葉の頭を優しく撫で、靴を脱げばリビングへと向かう
用意されていたご飯を電子レンジで温め座ればゆっくりと夕飯を食べ始めた
夕飯を食べ終われば食器等片付け
俺は風呂に入る
今日一日の事を思い出しながら湯船に浸かり
「今日は…おかしな一日だった」
と小さく呟いた
俺にとっての日常が非日常になり
普通が普通じゃない一日だった
やはり願い屋の事は頭から離れることは出来ない
大丈夫あれは嘘だ
現実じゃない
心の中で問い掛け続け湯船から出れば
部屋着に着替え、その日は直ぐに寝ることにした
明日からまた普通の日常に戻る
嫌そうなって欲しい
俺はそんなことを思いながら、瞼を閉じ次の日を迎えた
雀の鳴き声が外に響き、朝日がカーテンをつたい日を差し込んでいる
ああ良かったいつもの日常だ
部屋着から制服に着替え
リビングへと向かい朝食を取る
その後準備をし家を出て学校へと向かった
___ここまではいつも通りだった
学校につき上履きを履き教室へ向かおうとした時、もみじが慌てた様子で俺の所へ来た
「おい…朝からどうしたんだよもみじ」
「た…大変なの…はーちゃん」
息を切らしながら俺に何かを伝えようとしていた
「きょ…教室が…く…クラスがおかしいの」
走って教室へ向かい、勢い良くドアを開ける
その状況に俺は固まった
いつも静かに居るクラスメイトが
いつも楽しそうにリアルに充実してるクラスメイトの頭を踏みつぶしていた
痛そうに叫ぶクラスメイトを誰も止めずにただ見ていた
嫌正確に言えば何も出来ない状況なんだ
「なんだよ…これ」
俺の現実的な日常は
もう非現実的な非日常へと変わっていたのかもしれない