襲い掛かる恐怖
投稿遅れてごめんなさいっ!!
目を疑った。
いや、疑うしかなかった。だって、あの優しそうな男の子が、”あの”優しい表情が…、今じゃ全然違うんだもん。なんか、憎しみに包まれたような…、でもなんだか寂しそうで。
私は、恐る恐る声を出してみた。
「ど、したの…?」
すると、帰ってきたのはさっきとはまた違う 笑仮面をつけた”作り笑顔だった”。
そんな顔に思わず肩をすくめる。『怖い』そんな言葉がぴったり。
直視できずに俯いていると、ふとある日のことが蘇った。
あれは…、この2人…?
一瞬、脳裏に映ったのはそこにいる2人の姿だった。その2人は、とってもいい笑顔で笑っていた。
学校の中庭でたくさんの女の子に囲まれて。そんな2人の間にいるのは…―――――
「セナお嬢さま、起きましたか。よく眠れましたか?」
その声に少しビクッとしてしまう。笑仮面をつけた顔で見られるととても怖い。それと同時に”私のせいだ”なんて思いが溢れてくる。
もう少しで思い出せそうなところで思い出せなくて…。逆に思い出そうとすると頭に拒否される。
そんな自分を隠すように、なるべく笑顔を見せる。心配かけちゃだめだ、と言う気持ちで。
「う、うん!とってもよく眠れたよっ!!」
「そうですか、それは良かったです。」
笑仮面をつけている男の子は私に手を伸ばす。まるで、
『こっちにおいで』
と言わんばかりに。私は、無意識に目を固く瞑る。そんな時、視界が暗くなった。目を開けてみると…。
「セナお嬢さまに近づくなっ!」
1人の男の子が私を庇うように目の前に立っていた。
庇ってくれている体は、とても震えていた。
「今の一心に、セナお嬢さまの執事は務まらないっ!!」
「…んだとっ…」
と言って拳を振り上げる。その拳は、男の子…ううん、瞬さんの頬に命中した。
「…っ!!瞬さんっ!!」
戸棚に思いきりぶつかった瞬のもとへ私は駆け寄る。近づいてみると、口は切れ頬は赤く染まっていて、背中を痛そうに押えている。
「だ、大丈夫、ですか…?」
「うん…、平気だよ」
ニコッと笑った瞬を無意識に『守りたい』と言う思いがこみ上げた。
「ごめんなさい一心さん。少し失礼します。」
お辞儀をして、瞬とともに部屋を出て行った。出る前に後ろから「行くなっ…!!」と聞こえた。でも、私は振り返ることはなかった。