一心の本心~一心~
「――――…それからの記憶は曖昧。気付いたら病院にいた。あの後、母さんがどうなったのかは知らない。医者が言うには、『君のお母さんは精神的な病気にかかっちゃってしばらく会えなくなっちゃうんだ』なんて言った。まっ、ウソだと気づいてたけどなっ。母さんはあの後…、”自殺”したんだ。オレを置いて。」
そう言うと、ベットで寝ていたはずの瞬がガバッと起きた。
「そ、れ…ホント?」
瞬の声は震えていた。
いつから聞いていたのやら。
「いつから聞いてたの?」
オレは瞬の質問を無視して逆に質問をした。
「えっ「いつから聞いてたんだって聞いてんだよっ!!」」
うじうじしている瞬に何故かイライラして、叫んでしまった。だが、この時のオレに謝るなんて暇はなかった。
「さ、最初、から…。」
「はぁ…。そう。」
全部聞かれてたか。チッ、隠してきたのが意味ねぇーじゃん。
「じゃあ、今話したこと 全部忘れろ」
「……だ」
「はっ?」
「いやだっ!!一心が話してくれないと嫌だっ!!」
…。生意気な奴。オレの過去を聞いて何になるんだ。どうせ汚いモノ扱いだろ。そんなん慣れたけど。それにしても、オレもこいつにすっげぇ信用されてるな。でもな、
「そんな信用いらねーんだよ」
「えっ…?」
瞬はいきなりオレの人格が変わってびっくりしているようだ。
ごめんな、騙していて。これが”本当”のオレの姿だよ。
「一心…?」
と伸びてきた手をふり払った。ふり払われた瞬の手は行き場所を失った。
「もう、二度とオレに関わるな。」
そう言い切ると、ギシッとオレの後ろから聞こえた。
あ~あ、”また一人”増えちゃった。
「…ど、したの…?」
一番聞かれたくなかった人物に聞かれてしまった。セナお嬢さまに…――――
オレは振り返りニコッと笑った。