表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

目の前の現実~瞬~

今回は、前回よりの長いですっ!

「疲れたなぁ~」

と思ったらすぐに休んでくださいっ!!


では、どーぞっ!

今、セナお嬢さまが”また”地面に倒れた。同じのことが二度も起こるのだろうか、いや実際に起こっているんだ。ぼくの目の前で。ぼくは怖くて動けない。怖すぎて…。なのに…、一心は倒れたセナお嬢さまをすぐさま抱きかかえ、ベットに眠らせた。どうして、そんなに素早くできるのか、ぼくは”あの日”からずっと気になっていた。そう、セナお嬢さまが事故に会った悲劇のあの日から…――――――




~数日前~


「うぅ、寒いっ!」


通学路を下校中、ふるふると震えながらそう呟いたのは、鼻の先を赤く染めたセナお嬢さまだ。

それにしても、こんなに寒いのになんで雪が降らないんだろ?できれば降ってほしいな…。雪合戦とかできるし…、てはっ!!だめだめっ!!こんなこと考えちゃっ!!ちゃんと仕事しないとっ!

と首をぶんぶんと振っていると隣にいるセナお嬢さまに笑われてしまった。しかも、一心にも!!


「どうしたの?瞬さん、そんなに首振って」


「他の人たちからの目線が痛いよ、」


「え、いやっ何でもないよっ!うん!何でもありませんっ!!」


そう言って敬礼をするとまたまた笑われてしまった。ぷぅ、と頬を膨らませるとセナお嬢さまが僕の頭を優しく撫でてくれた。


「ごめんね、笑ったりして。瞬さんの行動がとっても可愛くて…。」


「か、可愛いなんて…っ!」


「セナお嬢さま、こんなやつが可愛いなんてありえないですよ!」


「ありえないってなんだよ!!ひどいなぁ~…。」


まぁまぁ、とセナお嬢さまはニコッと笑った。時々、セナお嬢さまは怖いと思う。ある意味ね、だって自分が気付かないうちに相手をオトすってどういうこと!?神の力でしょ!?(それは言い過ぎww)

ぼくは無意識にセナお嬢さまを見つめていた。そして、セナお嬢さまと目があった瞬間ぼくは、恥ずかしくてそっぽを向いてしまった。この時、ちゃんと前を見ていたら…―――――



キキィーーーーーーー!!!!



 「っ!危ないっ!!」


その言葉が最後だった。

ぼくは自分の目の前で起こっていることを、必死に理解しようとした。でも、出来なかった。だって…、セナお嬢さまが、ぼくの目の前でっ、血を流しながら…倒れてるから。

なんで?なんで、セナお嬢さまは倒れているの…?なんで、血が流れているの?

その時、さっき起こった現実がふっ、とよみがえった。

そうか…。そうなのか。セナお嬢さまは…、ぼくを庇って…。ぼくが、ちゃんと前を見ていなくて…、赤信号の交差点に向かって、踏み込んだから…。車がたくさん通っている道路に…踏み込んだぼくを庇って、ぼくの代わりにセナお嬢さまが道路に…。


セナお嬢さまが車に”引かれたんだ”


「…っ…」

現在いまの出来事をようやく理解したぼくにセナお嬢さまは、


 「…無事で…、良かった…」


そう呟いてセナお嬢さまは、静かにまぶたを閉じた。血の混ざった涙を流して。

こうなったのは、セナお嬢さまが引かれてしまったのは、全てぼくのせい。ぼくのせい、ぼくの、ぼくの……!!


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」


ぼくの体は、『絶望』という闇に包まれていった。暗闇内にほんのちょっとあった光から見えたのは、一心が迷いもなくすぐさまセナお嬢さまを抱きかかえて、病院に連絡をしているところだった。

どうして…、どうしてそんなに素早く動けるの…?大切な人が血を流して倒れているんだよ?なんで、そんなに


 『真顔なの…?』


もしかして…、一心の過去にも、何かあるの?…そんな事よりセナお嬢さまが…。あれ?動けないや…。体が…、動かないや。


「…!!…んっ!!」


なんか聞こえる。でも、動かないから、


 「瞬っ!!」


その声にはっ、と我に返る。


「瞬、大丈夫か?」


ぼくの目の前には、心配そうな顔して覗き込んできた一心の顔があった。その光景に先ほどの映像が重なる。ぼくは一心の体を突き飛ばし、自分の膝を抱えるようにうずくった。ポタポタ零れ落ちる涙。どさっと一心が床に尻餅をついた音が、数秒後に響いた。


「ごめっ、ごめんなさっ。ぼくが…、セナお嬢さまを…!!」


「瞬!!しっかりしろっ!!」


”何か”におびえながら蹲る僕の肩をがっちり掴んできた。いきなりのことでさっきまで流れていた涙がウソみたいに止まった。


「お前の中で何があったのかは知らないけど、落ち着けバカ」


そんな風に悪口を言っても、優しくぼくの頭を撫でてくれた。何故か、その撫でてくれる手に面影があった。


「ゆっくり、話せ」


「…っ、うん。」


ぼくは自分の中で起こったことを、一つ一つ言葉にしていった。その話は、この部屋のベットで静かに寝息を立てているセナお嬢さまも、聞いていた気がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ