プロローグ
今回は、異常なほどに長いです!
申し訳ありません!あと、投稿遅れましたっ!!
「どうしたの?」
そう言って、蹲る私を覗いてきたのは、1人の女の子だった。顔を上げてみると、目に入ってきたのは風に靡くさらさらな髪。黒く潤っている瞳。白くきめ細かい肌。全てが完璧で…。一言でいうと、『美少女』だろうか。そんな女の子が私に話しかけてきたのだ。こんな薄汚い私に。
恐る恐る口を開いてみると、
「あ、なた…は、誰…?」
「え?あ、私?」
その子の声は姿と似合うとても甘く、可愛いものだった。ニコッと笑う姿もとても。
「私は、……!!ヨロシク!」
えっ?何て言っ…
「ハッ!!」
目を開けると、白い天井。そして、私の足元には、寝ている男の子がいる。
私、なんで寝てたんだろう。それに…、さっきの夢は何?
なんてこと考えながら、ベットから降りようとした。でも、それは阻止された。だって、さっきまで私の横で寝ていた男の子に腕を掴まれたからだ。
な、なんか変にドキドキしてきたぁー!!ていうか、俯いたまま掴んだりされるとこっちが困るんだけど…。
「あ、あの…?どうしました?」
「……。」
無視…ですか。いやいや、黙られると困るんですけどっ!!さっきも言ったけどっ!!無視するなら手、離してくれないかな…?
心の中で焦っていると、男の子は掴んでいる手の力を強めた。
「いっ…た…!」
「…のこと」
「えっ?」
「ぼくの…こと…、覚えて…ない…?」
そう言う男の子の声は、とても震えていた。今にも、崩れてしまいそうなくらい。
どうして、どうしてそんなに震えているの?見知らぬ私の前で…。”見知らぬ”?いや、待てよ。私は…――――――誰?いやいやいやいや!!自分の名前ぐらいわかるだろっ!…なのに、分からない。何故か、分からない。
そう、『知らないのだ。自分が誰なのか…――――――』
「分かる…?自分が…誰なのか…。」
ずっと、自分の中で考えていたので男の子の声でふっ、と我に返る。
「正直に…言って…。」
まだ男の子の声は、震えている。きっと、ドキドキしているんだ。この男の子も…。俯いたままだから、顔が見えないけど、泣きそうになっているのは分かる。正直に言うと、知らない。いや、”分からない”でも、この子を傷つけるわけには…!!…えっ、なんで傷つけちゃいけないって…。ま、傷つけるのはだめだけどさ、どうしてここまでこだわるのか…。自分でも分かんない。どうかしてるの、私…?でも…!!
「わ、わかん…ない…。」
「!!……だよ、ね。」
その瞬間、悲しそうな笑顔を見せた。その眼には、たくさんの涙。
なんで、どうしてよ…!なんで、そんな顔をするの?悲しい顔をするの?なんで?どうして?
ねぇ。『前の私に戻してよ、何でも知っている”前の私”へ…』
呆然としている私の手を放し、男の子は部屋を出て行った。涙とともに…。掴まれていた手首を見てみると、手形が残るほど赤く染まっていた。とても強い力で握りしめられていたのだ。私は、その手を、自分で”自分で”手放したのだ。
さて、”私”と”男の子”は誰でしょう?まぁ、皆さんなら、分かりますよね?