□病気□
そうしてドタバタしている内に、我が家に住む最後の一人──ノエルお姉ちゃんが起きてきた。
「おはよう、ノエル」
「おはよう、ノエルお姉ちゃん!」
「おはよう、ノエ姉」
「おはようございます、ノエルさん」
「おはようございます、ノエル様」
「おはようございます、クロー様、リオン、シーナ、アパちゃん、奴隷」
ノエルお姉ちゃんは、真っ青な髪と背中に生えた白い翼が特徴の、天使みたいな美人さんだ。とても優しい人で、私達の名前を一人一人呼びながら返事をしてくれる。そして、流れるようにクロー様の腕を取ると、クロー様の肩に頭を乗せながら話しかけた。
「ねぇ、クロー様。昨日私が何をしていたか分かりますか?」
「え、いや、分からないなぁ」
「なら聞いて下さい実は私昨夜は遅くまで詩を綴っておりましたの勿論クロー様にこの狂いそうになるような愛情を伝えるためですわですから今すぐ聞いて下さいそして私だけを見て私だけを愛して二人で──」
「……や、ヤンでる……」
「え、病んでる? ノエルお姉ちゃん、病気なの?」
「ええ、ちょっと精神の方が、ね。……いい、リオン? あなたは絶対ああなったらダメだからね」
「うん?」
クロー様とノエルお姉ちゃんの様子を見た三人は、何故か冷や汗をだらだらと流していた。