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□ご飯□
リビングに行くと、人魚のシーナお姉ちゃんがエプロン姿で朝食を作っていたので、挨拶をすることにする。……因みに、人魚であるシーナお姉ちゃんが厨房に立てるのは、魔法で下半身を人間と同じものにしているからである。
「おはよう、シーナお姉ちゃん!」
「あら、おはよう、リオン」
私がそう声を掛けると、味噌汁の入ったお鍋を掻き混ぜていたシーナお姉ちゃんが、コンロの火を止めながら返事をしてくれた。シーナお姉ちゃんは、その吊り気味の目のせいで冷たい人と勘違いされがちだが、普通に優しい人である。こうやって朝食を作っている最中でも、よく私に話しかけて来てくれる。
「リオン、今日の朝ご飯は鮭の塩焼きだけど、昼と夜は何がいい?」
ほら、こんな風に。
私は、シーナお姉ちゃんに微笑みながら、リクエストを口にする。
「昼ご飯は鮎の塩焼きで、晩ご飯は鯛の塩焼きがいい!」
「……塩焼きから離れなさい」
「鯖の味噌煮に鰤の照り焼き、刺身、ムニエル、カルパッチョ!」
「魚料理から離れなさいっ!」
……少し怒られてしまった。