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ベガがつなぐ、宙はこころに夏雪草を咲かせて

作者: 逢乃 雫
掲載日:2026/06/14

午前七時の


潤色(うるみいろ)の窓の向こうで



聴こえくる


雨音のスタッカート



梅雨めく空から


大地にふりゆく青雨に



ゆれる琴弾草(ことひきぐさ)


やわらかな旋律を奏でて



やがて


広がる青い空から



頬を流れる


風のハーモニカが



弾き始める


季節の第二楽章



小径にふと


見つけた夏雪草は



景色の中に


そっと、白く映えて




星空の琴に


耳を澄ませながら



松風月(まつかぜづき)


夜空に浮かび上がる



こと座は


星が描く光の竪琴



六つの星が


奏でるグリッサンドに



(そら)も雲も星も


まるで楽譜のように




星空の琴に


心を澄ませながら



まるで夏鳥が


白い翼で


季節を羽ばたくように



遥か東から


夜空をわたりゆく



ベガは宙に


咲いた夏雪草のように




遥か古から


星の琴はいくつもの



季節の組曲を


リフレインするように



日々は


一小節ずつのように



穏やかな


一小節の時も



懸命に


かき鳴らす一小節も



その一小節が


やがてつながり奏でる



旋律は、きっと


かけがえのないもの




竪琴が


つないだ弦は七つ



星座が


つなぐ星は六つ



見えない


七つめの弦はきっと



それぞれの


心の中に


あるのかも知れない



夜空と  


心をつなぎゆく



七つめの


星の煌めきを、胸に




午後七時の


瑠璃色の窓の向こうで



瞬くような


星のスタッカート



夏めく空から


大地にふりゆく光に



星空の琴は


やわらかな旋律を奏でて



頬を流れる


風のハーモニカが



季節の  


第二楽章を奏でゆくとき



ひとひらの


夏雪草のような



ベガは心の


宙へと白く、煌めいて



















6月中旬頃から夜空に上ること座は、「夏の大三角」の一つのベガをはじめ、6つの星が竪琴たてごとを描きます。諸説ありますが、星座ができた当時の竪琴の弦の数は7本だったといわれます。


グリッサンドは、ピアノの鍵盤や琴の弦に指を滑らせるようにして弾く演奏手法です。松風月まつかぜづきは6月、青雨せいうは6月頃に降る雨です。


マツは、その姿が琴に似ていることから、「琴弾草ことひきぐさ」とも呼ばれます。夏雪草は6月にかけて白い花が咲き、「幸福」「思いがけない出会い」の花言葉があります。


季節の星や花をモチーフに詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
潤色、どんな色なのか調べてみました。色そのものの曖昧さ、言葉からくるにじみ感から、なんだか柔らかくあたたかいイメージですね。曇天といわれると重苦しい雰囲気なのに、当てる言葉で全く違う景色に見えて。窓の…
雨の季節の色と音と時間がとても美しいですね。 星の竪琴の旋律も穏やかではない時もありますが、弾いてきた日々はじぶんにとって、かけがえのないものなのだろうなと思います。 七つ目の弦を心の中で探して、大事…
本当に素敵な詩ですね(^^) 詠んでいて、心が暖まります(^^) 幻想的な情景が頭の中に浮かび上がり、心が温かく、優しい夜空が広がっていきます(^^) 素敵な詩を読ませて頂き、ありがとうございま…
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