第6話:通行料
商人であるイスハークさんと、その護衛の"金剛の拳"の三人と同行してから、既に四日が経ち、目的地であるエリドゥの城壁が遠くに見えてきた
「ローズ様、あれがエリドゥを守る城壁でございます。あそこを過ぎればエリドゥの町ですよ」
「あれが・・・」
「そういえば、ローズ殿。不躾な質問なのですが、現在の所持金はいくらお持ちでしょうか?」
「所持金?」
この四日間の飲食代でも取られるのだろうか
「エリドゥへ入るには、あそこの城門にいる門番兵に通行料を払わないといけないんだ。俺ら冒険者やイスハーク殿はギルドカードがあるから無料だが、ローズ殿は持っていないだろう?」
「所持金は銀貨3枚だけしかないわ・・・」
「銀貨3枚か。あと2枚足りないな」
「ど、どうしたら良いかしら?」
「ローズ様、ご安心ください。私が代わりに払わせて頂きますので」
「ありがとう、イスハークさん。冒険者になったら、必ず返すわ」
「いえ、返さなくて大丈夫ですよ!」
「流石にそうもいかないわ。返させてちょうだい」
「・・・わかりました。では、返せる時で良いので返してください」
「ええ、ありがとう、イスハークさん。必ず返しに行くわ」
「楽しみに待っております。あ、ローズ様、近づいてきましたね。どうです?立派な城壁でしょう?」
イスハークさんと通行料をどうするかの話し合いをしている間にいつのまにか城壁へと辿り着いていた
「立派な城壁だわ。やはりここらへんに生息する魔獣や魔物に対抗するために造られたのかしら?」
「そのようです。ですが、エリドゥの冒険者たちがいるため、この城壁まで近づく魔獣や魔物はめったにいないのです」
「だが、偶にゴブリンや魔猪が城壁に近づくこともあるがな」
イスハークさんの説明にテッカイさんが付け加える
「そこで止まれ」
荷馬車の外から止まるよう指示が聞こえ、その言葉と共に荷馬車も停止する。
それと共にイスハークさんに促されるまま、イスハークさんと一緒に荷馬車から降りる
「むっ!これはイスハーク殿ではありませんか?本日お帰りだったのですね」
「えぇ、長い旅でしたが品質の良い物を購入出来ましたよ」
「それは良かった。ところで、こいつらは?」
「ここへ帰る道中、此奴らに襲われましてね。ただ、護衛として雇っていた冒険者の"金剛の拳"のみなさんと、こちらのローズ様に助けられました」
「ローズ?聞いたことのない名前ですな」
門番兵と呼ばれているおじさまは怪訝そうに私のことを眺めている
「それはそうでしょう。ローズ様は冒険者になるため、生まれ育った村を出た、いわゆる冒険者の卵なのですから。そのため、ギルドカードも所持していないので、ローズ様の通行料は私がお支払い致します」
イスハークさんは門番兵のおじさまへ通行料の銀貨5枚を手渡す
「確かに。ローズと言ったな?何かとギルドカードは使う。まずは冒険者ギルドに行き、ギルドカードを作ってから、行動するのをおすすめする」
「わかったわ、ありがとう門番兵さん」
私の話口調を聞いた門番兵のおじさまが硬直した




