第3話:金剛の拳
木の影から、気取られないよう、山賊一人の背後へと迫り、剣を振り下ろし気絶させる
「助太刀させてもらうわよ!!」
「助かる!!!」
私は気絶した山賊から手入れがされている剣を奪い取り、村から持ってきた錆びついた剣を山賊一人へ目掛け、力一杯投擲する。
勢いよく投擲された剣は錆びついてはいるものの、人に刺さる程度の鋭さは未だ健在である。
そのため、投擲の標的となった山賊は慌てて避けるが、私から視線を外したその一瞬の隙をつき、山賊の懐へ勢いに任せたタックルをお見舞いする
「私のタックルの威力はどうかしら?」
村では、私のタックルは猪並と言われていたのを思い出す。
そんな私の全力のタックルを受けた山賊は、そのまま弾き飛ばされ、地面に叩きつけられ、気絶してしまった
「これで二人。残りは四人ね?三人は任せても良いかしら?」
「無論だ!」
私は商人の護衛をしている三人の冒険者へと尋ねると、リーダーらしき男が返答する
「行くわよ、山賊さん。おらぁぁぁぁぁ!!!」
私の気合いの籠った野太い雄叫びを聞いた山賊の一人が恐怖からなのか腰が引けている。
その怯えている可愛らしい山賊の頭上へ、私は振り上げた剣を力任せに振り下ろす。
私の力任せの振り下ろしを剣の側面で受けた山賊だったが、腰が引けていたため踏ん張りが効かず、受け止めた剣の側面がそのまま山賊の頭に激突した
「あら!今のは痛いわね」
剣の側面を頭に激突した山賊はその衝撃で白目を剥いてしまい、受け身も取れないまま、地面に倒れ込んだ
「私の方は終わったわよ!」
任された山賊が気絶しているのを確認し、護衛冒険者がいる方へ振り向くと、丁度、残りの山賊を倒している所だった
「そっちも終わったみたいね?」
「ああ、貴殿のおかげで助かった」
リーダーらしきこの男性が私に礼を言っている間に彼の仲間は山賊たちを縄で縛っている
「気にしないで。困った時はお互い様よ」
「そう言ってもらえると助かる。自己紹介がまだだったな?俺はテッカイ。D級冒険者で、"金剛の拳"のリーダーを勤めている。この二人は仲間のフェールに、アイゼンだ」
山賊を縛っている二人の冒険者は紹介されると山賊を縛る手を止め、手を上げて"よろしく"と言っていた
「貴殿の名を教えて頂けないだろうか?強さから察するに、名のある冒険者と見受けられるが」
「残念ながら、貴方の予想は外れているわ。私はジェミニ、いや、ローズって言うの。冒険者になるためにエリドゥに向かう途中だったのよ」
ジェミニは昔に死んだのだ。
これからはジェミニではなく、ローズと名乗っていこうと考えている
「なんと!!冒険者ではなかったのか!それにしては強かったが」
「冒険者を夢見て、日々、鍛練を続けていたら、いつのまにかこんなになってたわ」
私は己の腕に力を入れると、立派な筋肉が盛り上がる
「それでテッカイさん達は一体何をしてらっしゃったの?恐らく、そちらの商人さんの護衛だとは思うけど」
テッカイさんから視線を外し、馬車の中に未だ隠れている商人へと視線を向けた
「うむ。ローズ殿の言う通り、彼の護衛を引き受けていたのだが、まさかこんな場所で山賊に襲われるとは思わず、油断した結果があの体たらくだ」
テッカイさんは自分のあまりの体たらくぶりに呆れ返り、責任を感じているようだ




