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よーいスタート②

家を出ること数分。

目的のコンビニが見えてきたところで一息。とりあえずベンチに腰をかける。


ゴールが見えてきたところで急に手を抜きたくなるこの悪癖は今も変わらずだ。

これのせいで今まで数えるのも面倒なぐらいの不都合にあってきたが今更直すつもりもない。


ぼーっと空を見上げる。キモいぐらいの快晴だ。


雲ひとつない空の下には無職のカス一匹。

なんだか罪悪感を覚えてしまう。


「こんな姿、他の誰にも見せられないよな・・・」


自由に孤独はついてまわる。それは理解しているが、果たしてその自由は俺自身が望んだものだろうか。


「別に自由なんて望んじゃいないさ。社畜でもなんでもいい。でも孤独は、いや誰にも理解されないって堪えるよなあ」


高校を出て4年。仕事を辞めて1年。時間は残酷にも流れていく。

大した理由があって仕事を辞めたわけではない。ただ、なんとなく自分のいるべき場所ではないと感じた。ただそれだけ。


いつまでもプー太郎でいるわけにもいかないので転職活度もしてみたがからっきし。


一応、実家は出ているが家族にも無職であることは伝えていない。


こんな自分にも当初は確固たる個を持った友人達に追いつこうともがいていた時期があった。

自分にも換えの効かない何かがあるのだと。だから自分を見てくれと。

加速していく承認欲求が現在地ではないどこかで輝く自分をイメージさせるのは無理もないことだったと思う。

自分の進路はその時点で地元以外への逃避に定まっていたのだ。


そうして逃げるように地元を出て、大した爪痕も残さず仕事も辞め、今に至るというわけだ。


本当はわかっている。ただへそを曲げているだけなのだと。

自分よりも遥かに優秀な友人、家族。そんな中でなんの才能も面白味もない自分。


常に比べられ、見下され、踏み台にされ。

悔しかった。本当はもっと認めてほしかった。ただそれだけだった。


「俺の人生、なんでこうなったかなあ。」


こうやって今までの人生を振り返るのも最早、習慣である。

マイナス思考になるだけの無駄な時間なのだ。辞めた方が良いに決まっている。


そう。やっぱり理解しているのだ。こんな生活辞めて今すぐにでも幸せになる努力をするべきなのだと。

(当たり前だがここで言う幸せとは短期的なその場限りの幸せではなく、長期的な本当の意味での幸せのことを指す。)


そうだコンロ。今すぐ動け。自堕落な生活も今日で終わりだ。働いて地元の奴らを見返してやるんだろう。

求人を探すなり、資格を取るなり、やれることはたくさんあるだろう。

こんな所で黄昏ている場合ではないのだ。


さあ動けーーーーーーー


そう。何度も言うが理解しているのだ。頭では。

しかしそう簡単に人間、変われるのなら苦労もしない。


「まあ明日でいっかあ。」


悔しいかな、結局楽な方へ逃げてしまう自分のこともなんだかんだ嫌いではないのだ。


それから数分、引き続きぼーっと空を見る。


丁度立ちあがろうと前を見ると推定40代のサラリーマンと黒ずくめのマスクをした男がすれ違う所であった。


スーツを着込んだいかにもなサラリーマンに心の中で悪態をつこうとしたその瞬間。


耳をつんざくような銃声が鳴り響いた。


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