よーいスタート①
「君のおかげで世界は救われた。礼を言わせてくれ。ありがとう!」
一昨日からぶっ続けでプレイしていたアクションゲーム(銃撃系)を今この瞬間、ようやくクリアした。
ゲーム内キャラ曰く、自分は世界を救ったのだと。
「大して嬉しくもねえもんだなあ・・・」
3日もかけ、寝る間も惜しんだにも関わらずいざクリアしてみると胸の内には虚しさだけ。
ゲームにしろ恋愛にしろ、何事も過程を楽しむものなんだと一丁前に結論を出してみる。
「こういうこと考えれる俺って大人・・・ジャン。」
こうやって逐一自分のことを褒めてあげることが世知辛い現実で生きるコツなのだ。
「うわっまぶし」
カーテンを開くともうすでに日は上りきっていた。さっきまで夜だったのに。
「あれ〜。いつのまに。今日も夜勤してしまったよ。」
徹夜のことを夜勤と呼ぶのもニートとして現実を生きるコツ。
ぐう〜
「お腹すいちまった。」
近所のコンビニに行くべく、財布に手を伸ばす。
「ありゃ。現金ねえじゃん。」
俺は現金派なのだ。カードは持っているが後払いはなんかやだ。
「金おろすかあ?でも手数料かかっちまうしなあ。」
金を下ろせば手数料。所持しているカードは会費無料なのでカードを使う方が好ましい。
そう頭では理解しているのだが。
「まあええか。金おろそ。」
塵も積もれば山となる。略してチリツモ。今この状況においては俺の嫌いな言葉ランキング上位である。
「こういう頭悪いこと繰り返すから貯金無くなるんだわ。俺。」
でもそういう自分のことも嫌いになれない。むしろ好きなまであるのだ。
「鍵は・・・持った。財布も持った。あと携帯・・・もある。」
そうして俺は家を出た。
佐々木コンロ。それが俺の名前。22歳の高卒無職。
きっと俺にはまだ何かしらの才能があって、まだそれが発覚していないだけ。
認めない周囲が馬鹿なのであって俺はきっとまだ輝けるはず。
いつかきっと自分を必要とする時が訪れるはず。
割と本気でそう思っている所謂、社会不適合者だ。




