表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生成AIが紡いだ小説 混ざり者レオの物語  作者: 月嶋 綺羅(つきしま きら)
第五章 選択と変化
77/223

第五節 告発 1

 統合隔離観察施設〈第七調整区画〉――外部からはその全容がうかがい知れぬよう、地表に露出した部分は最小限に抑えられていた。


 低く沈んだコンクリートの外殻は、地上の風景から無理やり切り離されたように無機質で、無言のまま周囲の自然と断絶していた。


 建物の大半は地下に広がっており、五層構造の各階には、徹底的に効率化された廊下と室区画が縦横に張り巡らされている。


 最上階は管理用フロア。統括者と技術スタッフが常駐し、下層全域の制御を遠隔で行っていた。中層には観察室や医療ラボがあり、下層になるほど“非公開”の用途が増えていく。


 レオたちが収容されているのは、第四層、〈分類待機ユニット〉と呼ばれる区画だ。名称だけを見れば仮設の保護施設のように思えるが、実態は“適性判定が下されるまでの保管庫”に過ぎない。


 この階には、子どもたち一人ひとりに割り当てられた個室が並んでいた。とはいえ、私的空間というよりは“監視可能な収容ブース”というべき代物だった。


 各室は四方を合成樹脂と防音パネルで囲われており、天井には不可視赤外線センサーと全天球型カメラが取り付けられている。


 監視は二十四時間体制で、映像とバイタルサインが逐一記録されていた。プライバシーは、ここでは“リスク”と見なされていた。


 部屋の広さは、わずか六平米。壁に組み込まれたシングルベッドと、最低限の衛生設備、収納と机が備え付けられているが、窓は一切ない。空調は中央制御されており、室温や湿度も外部で管理されていた。


 外界の季節も時間帯も、この部屋にいる限りは意味を成さなかった。


 衣服もまた、制限されていた。


 支給されるのは統一された灰青色の〈生活管理服〉。


 素材は伸縮性と耐熱性に優れた合成繊維で、帯電を防ぐための静電処理が施されている。


 ファスナーやボタンなどの金属部品は使われておらず、全体が一体成形されている。


 服にはIDタグが内蔵されており、着用者の位置や体調が逐一モニタリングされていた。


 個性を示す装飾は禁止されている。髪型や持ち物にも制限があり、装身具や私物の持ち込みは一切許可されなかった。彼らは“人”としてではなく、“管理対象”として扱われていた。


 彼らは名前を奪われ、番号で呼ばれていた。


 レオはSIA-037-A、ミナトはSIB-014-B、カミーユはHTX-221-C、ハクはEXN-099-X。これらは管理番号で、長いので略して37A、14B、221C、99Xと呼ばれていた。


 入所初日、レオたちは全員、携帯端末や通信機器を没収された。すべての接触手段は遮断され、外の世界とのつながりは強制的に絶たれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ