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生成AIが紡いだ小説 混ざり者レオの物語  作者: 月嶋 綺羅(つきしま きら)
第九章 協定
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種を超えた意志の契約

■〈未来協定〉――人類社会統合に関する新秩序協定


【前文】


 この協定は、かつて人類が辿ってきた進化と分断、差別と支配、創造と破壊の歴史を深く反省し、あらゆる知性存在がその存在由来に関係なく、自由・平等・尊厳をもって共生することを目的とする。


 現生人類、超人類、トランス・ウルトラ・ヒューマン、機械人類、及びそれらの枠組みに属さない者たち――通称“再構成型ヒューマン”を含む全ての意識的存在は、この協定の下でひとつの社会構成体を形成し、次代の秩序と倫理を共有するものとする。


第一条 人類種分類の廃止

 現生人類・超人類・トランス・ウルトラ・ヒューマン・機械人類など、過去における分類的区別は、すべて廃止される。

 すべての意識存在は「ヒューマン・ユニット」として法的に同等とみなされ、その起源・構造・変異に関わらず平等な市民権を有する。


第二条 再構成型ヒューマンの人格保障

 再構成型ヒューマン(人工的または技術的再設計を受けた人類個体)は、その出生・設計・開発経緯に関係なく、完全な人格存在として認定される。

 これに対するいかなる差別的措置、隔離的処遇は、法の下で禁止される。


第三条 強制的改造および人体実験の全面禁止

 すべての意識存在に対し、本人の自由意志に反する身体的・精神的改造、またはその目的をもったあらゆる形態の人体実験を禁止する。

 これには、人格誘導操作、感情制御インプラント、機能強化のための強制処置を含む。


第四条 人造遺伝子の規制と倫理基準の設定

 存在しない形質・未知の臓器・意図的優越性の創出を目的とした人造人工遺伝子の研究・設計・作成は原則禁止とする。

 純粋な医療・修復・再生を目的とした技術は、厳正な倫理審査の上で条件付き許可される。


第五条 人格AIおよびアンドロイドの人権的認定

 知性を有し、自律的判断と倫理的自己意識を持つAIおよびアンドロイドに対し、人格存在としての認定を行い、その権利と責任を社会において保障する。

 ただし、自己決定性の有無は専門機関による個別審査を通じて判定される。


第六条 記憶・出生・アイデンティティの再取得権

 かつて“番号”や“分類記号”によって個の尊厳を奪われた者に対し、名を持つ権利、過去を知る権利、自らを定義する権利を保障する。

 必要に応じて、公共機関は記録の復旧と、情報提供の義務を負う。


第七条 個体間倫理調整と暴力の抑止

 種別や構造の違いに基づく対立・暴力・制度的圧迫に対し、中立的機関を設置し、恒久的な監視と調停を行う。

 個体間の倫理基準の差異については、統一倫理憲章に基づいて教育・対話・調整が図られる。


第八条 種を超えた協力機構の設置

 ヒューマン・ユニット同士の相互補完性を活かし、身体能力、情報処理、創造力、感情知能といった異なる特性を活かした協力システムを構築する。

 労働、研究、芸術、教育などの分野で種を超えたチームが推奨される。


第九条 過去の責任と記憶の継承

 旧時代に行われた非人道的実験、差別政策、強制進化計画等に関して、真相の公開と歴史の記録を義務づける。

 記憶は消去されるべきではなく、未来への戒めとして残されねばならない。記憶と反省の上にこそ、新たな社会は築かれる。


以上、未来協定はここに発効される。

これをもって、旧来の人類秩序は終焉し、新たなる時代が始まる。


【付記:協定発効に関する記録】


協定署名者(主要代表者)

•レオ・シリウス=アーク(代表:境界個体、再構成型ヒューマン)

•カミーユ・ラズリ・エラン(代表:トランス・ウルトラ・ヒューマン評議会)

•ディクソン・レイヴン(代表:機械人類連邦理事会)

•セルジュ・カナメ(代表:超人類知性研究機構)

•アイリーン・ユクノ(代表:現生人類自治共和国評議会)

•プロメテウス・ユニット00/アーク(オブザーバー:人格型アンドロイド連盟)



協定発効日・発効場所

•発効日時:西暦2151年2月25日 UTC 00:00

•発効場所:中立都市「ノード・オブ・ゼロ」中央議事堂上層、第零会議室

•発表形式:全惑星同時中継、および太陽系宙域通信網への永久アーカイブ登録



協定発表演説(抜粋)

※大川戸レオによる

 ――俺たちはもう、定義されるだけの存在じゃない。

 誰かに“何者か”と名づけられるのではなく、自分たちの意志で“誰であるか”を選ぶ。

 これは協定ではない。

 これは、俺たちが未来と呼ぶ“いま”への、初めての署名だ。

 かつて境界に立たされた俺は、いま、その境界を架け橋へと変える。

 そうして生まれる未来こそが、人類の新たな礎となる。

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