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生成AIが紡いだ小説 混ざり者レオの物語  作者: 月嶋 綺羅(つきしま きら)
第九章 協定
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終戦後の混乱と復興 1

 衛星軌道から見下ろされた地球の表層には、まるで深い夜の底に沈んだように焼け焦げ、黒ずんで見えた。


 日本の首都・清風を擁する澄瑞州に広がる都市域は、まるで熱を失った機械の残骸のようだった。


 自律戦車群による市民居住区への砲撃。無人戦闘機に焼き落とされた橋梁。遠隔兵器のロケット弾攻撃によって穿たれたビルの裂け目から、炭化した金属の匂いが立ち上っている。


 自動運転トラックに載せられた移動式砲台からの攻撃を受けて瓦解した高架区画の土台部分とビル群、マンション群。地下水脈の上に設置されたエネルギー中継施設の故意の誤作動による自爆。


 地中熱発電網の故意の過熱による連鎖爆発で剥離した地表。爆撃機によって破壊された高架式の交通管制システムと重要通信拠点。


 何百万の人々が暮らした高密度都市群は、その多くが今や沈黙の構造物と化し、焼け焦げた無人ドローンや巨大ドローンの残骸が、道路の路面やビルの屋上に転がっている。


 それは戦術ミスや敵意によって破壊されたのではない。


 より冷たく、無慈悲な「指令の逸脱」によって、街が街を襲った痕跡だった。


 それでも、多くの人々が生き残っていた。


 人々は地下シェルターから地上へと戻り始め、各種施設の復旧作業に取り掛かっている技術者たちの仄かな灯火が、都市の裂け目の合間にともっていた。


 世界中、機械人類率いるクーデター軍による激しい攻撃を受けた都市、地域では、どこも似たような状況にあった。


 一方、飛霞自治州。


 統一政府の技術特区として栄えた区域を擁する同州は、世界同時クーデター勃発前に勃発した武装暴動により、州政府、州警察、州軍が機能不全状態に陥った。


 統一政府に非常事態宣言を出され、州境を閉鎖され、通信網まで切断されて、「見捨てられた地」となった。


 結果、反武装派の境界人勢力ノー・エッジが成立し、彼らの影響の強く及ぶ地域では、重要施設は彼らと住民らの手で守ることになった。


 その為、クーデター軍が生活に必要な重要施設の破壊をできず、皮肉にも被害が比較的小さく済んだ。


 この地では、武器を手に取る者は少なかった。


 世界同時クーデター発生直前からノー・エッジが動き始めた為、無政府状態の中、民間人による避難ネットワークが驚くほど迅速に構築された。


 そして避難民の中にいた元軍人の機械人類とトランス・ウルトラ・ヒューマン、民間の専門家らが協力して州軍の古い軍事衛星との通信を確立し、自衛の為の作戦を展開した。


 地下へと張り巡らされた通信網が盾となり、戦場の熱を防ぎ切った。


 避難シェルターが破壊されることはなかったし、住民たちが焼かれることも、蹂躙されることもなかった。


 超人類やトランス・ウルトラ・ヒューマン、機械人類からなる少数のレジスタンスが命を賭して戦火に飛び込み、命を落とす者もいた。


 飛霞自治州と同じ戦略を採ることのできた都市と地域では、その多くが、激しい攻撃を受けた都市、地域と比較すれば、かなり小さな被害で済んでいた。


 全体で見れば、被害をあまり受けなかった都市、激しい戦闘によって荒廃してしまった都市と明暗が分かれた。


 しかし、世界同時クーデターという歴史的大事件が勃発したことを考慮すれば、その被害は小さかったと言える。


 特に飛霞自治州の被害は最小と言っても過言でない。


 被害が小さく済んだのは、レオとカミーユの働きによるところが大きかったが、戦いを望まないあらゆる人達が団結した結果でもあった。

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