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生成AIが紡いだ小説 混ざり者レオの物語  作者: 月嶋 綺羅(つきしま きら)
第七章 破滅か共栄か
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第一節 分断の深化 1

 世界連邦構成国、日本の首都・清風。


 冬の夕暮れ……闇が都市を包み込んでいた。


 高層ビル群の輪郭は、いつもなら淡いネオンに彩られていたが、この日はただ黒く沈んでいた。午後四時、突如として変電施設が三か所同時に爆発。ドローンタクシーの運行制御サーバーが不正アクセスを受けて過熱し、機能を停止した。数分のうちに、電力網の広範囲が沈黙し、AI制御の公共輸送はことごとくダウン。地下鉄は緊急停止し、車内に閉じ込められた乗客たちは情報を得られぬまま、薄暗い車内でスマート端末を握りしめていた。


 市民の間には、瞬時にして「何かが起きている」という直感が走った。


 なぜなら、これは初めてではなかったからだ。ここ数日、似たような障害が、別の自治州でも発生していた。それも決まって中立的な地域ばかりだった。誰も声には出さなかったが、人々はすでに気づき始めていた――これは単なる事故ではない。


 通信端末は圏外を示し、SNSは読み込めず、公共放送の画面には「現在、システム更新中」の表示が点滅していた。だが、その“更新中”の表示は、数時間前から変わっていない。まるで「何かを隠している」かのように。


 情報は遮断され、都市は音を失った。


 交差点では信号が消え、交差する車両が身動きを取れず、ドライバーたちの怒号が響く。空には、本来飛んでいるはずの物流用ドローンの姿もない。コンビニには買いだめに走る客が殺到し、食料や電池が棚から消えていく。


 一部の店舗では、住民の暴徒化を恐れてシャッターが降ろされた。


 雪混じりの風が、沈黙する街を通り抜けていく。


 その風の中、路上に立ち尽くす人々の顔は、寒さよりも不安によってこわばっていた。


「……まるで戦争が始まる直前の、社会の不安定期みたいだな……」


 誰ともなく呟かれた声が、吐息となって空に溶ける。


 それはある意味で、預言だったのかもしれない。

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