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生成AIが紡いだ小説 混ざり者レオの物語  作者: 月嶋 綺羅(つきしま きら)
第六章 新たなる人類の夜明け――境界に立つ者たち
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第八節 境界人全面攻撃計画 5

 リーダーはレオたちを再び見つめ、その表情に静かな微笑を浮かべた。そこには敗者としての苦悩も、支配者としての傲慢もなかった。敗北の中にも矜持を残した、戦いを超えた者の面差しだった。


「ここからは、私の部下が案内する。安全に、丁重に外までお送りしよう。――お前たちは、この世界に一石を投じた。その事実を、決して忘れないことだ」


 その言葉に、レオはわずかに頷いた。ミナトも、エイジも、そして他の仲間たちも、無言のままその場を後にする。誰も振り返らなかった。ただ静かに、その背中が語っていた。作戦の成功を。


 正面玄関の扉が静かに開き、柔らかな光が廊下を満たしていった。リーダーの命を受けた案内役たちは、一歩後ろへと下がり、まるで貴賓を見送るように、無言のままレオたちに通路を譲った。


 こうしてレオたちは本拠地を後にし、澄みきった朝の陽射しの中をアジトへと歩みを進めた。


 頭上には限りなく青く広がる冬の空があり、一片の雲もなく、乾いた透明な大気が肌をなでるように流れていた。


 冬の風は相変わらず鋭く冷たかったが、陽光にはどこか穏やかなぬくもりがあり、その静けさは心の奥まで沁み渡るようだった。


 遠くから微かに鳥のさえずりが響き、街の片隅には、再び目覚めはじめた人々の営みの気配が漂い始めていた。


「あなたにはかなわない。こんな奇策を思いつくなんて……」


 エイジは深く感嘆の息をつきながら、レオを見つめた。


 レオはわずかに口元を緩め、肩の力を抜くように応じた。


「これで、他の勢力も動けなくなる。EMPは機械人類にとって死そのものだ。〈スチール・イデア〉にとっても、同じ手を使われるのは脅威だろう。残るは〈ノア・アーク〉と〈人類保護同盟〉だが……どちらも少数が少ない上に生身の人間。こっちの方が頭数では上だ。無理に攻撃には出てこないはず」


 その言葉は静かで、決して声高ではなかったが、内に秘めた決意と計算の深さが、寒空の下でなお消えることなく響いていた。

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