表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生成AIが紡いだ小説 混ざり者レオの物語  作者: 月嶋 綺羅(つきしま きら)
第六章 新たなる人類の夜明け――境界に立つ者たち
115/223

第八節 境界人全面攻撃計画 1

 レオはミナトを伴いながら、連日、日に何度でも、時間が許す限り演説の場に立った。


 アジトには日々、飛霞自治州の各地から多様な情報が届いていた。


 〈ノー・エッジ〉の構成員たちは、自らの足で得た現地の証言や、密かに送られてくる映像データ、傍受した通信などを持ち寄り、全体像を編み上げていた。


 それにより、どの区域が武力衝突の余波に晒されているのか、どの街がどの人類種による統制下に置かれているのか、どの村が人類種によって閉鎖されたのか——地域ごとの状況が明確に浮かび上がりつつあった。


 自治州内の正確な情報を掴むことは、活動していく上では非常に重要だった。


 最初、レオの語りかけは、自身と同じように境界に立たされていた“混ざり者”たちにのみ届いていた。


 アイデンティティの断絶、社会からの排除、いずれの人類種にも属さないという孤独——それらを共有する彼らにとって、レオの存在と言葉は唯一の灯火だった。


 だが、時を経るごとに、その響きは変容していった。


 演説には必ずミナトが寄り添い、彼はときにレオの隣で静かに頷き、ときに前へ出て、少年の言葉を補うようにして語った。


 ミナトの声は落ち着いていて、理知的でありながらも、どこか懐かしさを帯びていた。機械でも超人でもなく、人間の温度を残したその口調は、機械人類の中にも静かな波紋を広げていった。


 そしていつしか、演説を聞こうと集まる者たちの中に、現生人類の老いた母親が加わるようになり、超人類の若者が、あるいはトランス・ウルトラ・ヒューマンの学者が、機械人類の護衛兵士が、その場に足を運ぶようになった。


 レオの言葉は、種を超えて“人”に届く言葉へと成熟していった。


「僕たちは、分断のために生まれたんじゃない。違いを超えることができるなら、それは祝福なんだ」


 それは幼さを残しつつも、真摯で揺るがない信念のこもった声だった。誰かに何かを押しつけるのではなく、ただ希望を訴えるための言葉。その在り方が、多くの人々の心に作用した。


 こうして、アジトには日に日に新たな来訪者が現れた。誰もが最初は沈黙を守っていたが、やがて一人、また一人と語り出し、互いの境遇を明かし、対話の場が自然と生まれていった。


 支持者の増加と共に、〈ノー・エッジ〉の活動拠点もまた自治州内にいくつも設立された。


 それらは武装拠点ではなく、情報と対話の拠点であった。


 小さな広場、廃墟となった集会所、使われなくなった地下シェルター——それぞれの場所に手が加えられ、住民たちの手によって整えられていった。


 そこでは、誰もが武器を持たず、思想を強制されることなく、異なる存在と向き合う場として機能していた。


 やがて、飛霞自治州のあちこちで、人々は〈ノー・エッジ〉という名前を囁くようになった。


 それは単なる反政府組織の名ではなく、「武力を使わず、対話によって共に生きることを選ぼうとする者たち」の象徴へと変わっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ