表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生成AIが紡いだ小説 混ざり者レオの物語  作者: 月嶋 綺羅(つきしま きら)
第六章 新たなる人類の夜明け――境界に立つ者たち
104/223

第五節 声のかたち 2

 やがて、真凛は涙をぬぐい、ミナトに視線を向けた。


「ところで……あなたは、なぜそのような情報を? なぜ、レオのために……?」


 その問いに、ミナトはわずかに視線を落とし、答えるまでにひと呼吸を置いた。そして、静かに口を開いた。


「……私もまた、“シリウス計画”の被験体です。正式なコードは“シリウスβ”。レオくんの前段階として生まれた、試験個体です」


 真凛の体が、微かに揺れた。目の前にいるこの女性が、自らの息子と同じ「被験体」であるという事実を、すぐには受け止めきれなかった。


「私は……自分の出自を知るため、独自に調査を始めました。そして、統一政府の特務計画部に辿り着き……協力者となることで、情報を引き出したのです」


 ミナトの声は淡々としていた。しかし、その奥に滲む決意と孤独は、確かに存在していた。


「今日は、レオくんに真実を伝えるために、ここに来ました」


 沈黙が再び室内を支配した。


 その中で、真凛はミナトを見つめながら、ゆっくりと言った。


「あなたも……辛い思いをしたのね」


 ミナトの瞳が、一瞬だけ揺れた。


 その言葉に、彼女は何かを赦されたような気がした。


「レオ、お父さんにはこのこと……話した?」


「まだ……話してない」


 真凛は小さく頷いた。


「それでいい。お父さんが退院するまで……今は、そっとしておいてあげて」


「……ああ」


 レオは小さく答えた。


 そうして、三人の間には、言葉以上の感情が行き交っていた。傷と、赦しと、そして始まりの静けさが――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ