ハバタキ杯
一回戦の相手は『法律相談リーガルズ』という色物チームだった。
二十代もしくは三十代と思しきお姉さまたちで結成されており、白いユニフォームには法律事務所の電話番号や、過払い金相談がどうのこうの、といった宣伝文句で埋め尽くされている。
所長にやれって言われたので渋々やってまーす、という投げやりな感じがそこここに感じられる。ちんたらしたパス回しの雰囲気からして、練習はあまりしていなさそうな感じだ。
我が軍は、十六チーム中最年少チームとの触れ込みのせいか、中年の男性ギャラリーが多く詰めかけていた。大会を盛り上げるための賑やかしだろうけど、お嬢ちゃんたち、せいぜい頑張りなよ、という生温かい視線がなんとも言えずうっとうしい。
法律相談リーガルズのスローオフから試合が始まった。
ディフェンス側のチームがエンドゾーンから相手チームの陣地に向かってディスクを投げ、ここから試合が始まる。投げられたディスクは直接キャッチしてもいいし、落ちたディスクを拾い上げて、その地点から攻撃を始めてもいい。しかし、直接キャッチに失敗するとその地点で攻守交替となるので、いったん地面に落とした方が無難である。
ディスクを回す役目のハンドラーの中で、最初にディスクを拾う係を「QB」という。
鎌倉アルティメット・ガールズのQBはアリサで、ミシェルと弓様もハンドラーを務める。ミドルは麻乃とつばめ、ディープはお姉ちゃんとモッティー、というのが基本布陣だ。
お姉ちゃんとモッティーが敵陣深くまで攻め上がり、つばめは中盤をウロウロしている。
ミシェルと弓様が左右に開き、どちらにもパスコースが出来ている。
法律相談リーガルズは省エネなのか、スローオフ後に全力でダッシュはしてこず、中盤には広大なスペースがあった。マーカーの動きは、笑ってしまうぐらいに緩々だった。
左右に開いたミシェルと弓様にようやくマーカーが付き、寝起きのせいか、あまりやる気を見せていないつばめにもじりじりとマーカーが寄ってきた。
「ストーリング、1、2……」
やっとアリサの前にもマーカーが寄ってきたところで、アリサは素早く麻乃へとパスを繰り出した。黒縁メガネの麻乃の動きはもっさりしており、ビジュアルにインパクトがないせいか、マークが手薄になる傾向がある。
ほとんどノーマークでパスを受けた麻乃は、ぎこちなく前を向くと、「よっこらしょ」とでも言いだしそうなノロさで腕を振った。麻乃の唯一の武器であるハンマースローが繰り出され、ふわんと舞い上がったディスクがエンドゾーンへと飛んでいく。麻乃のパスの半分は優しさでできているのか、高々とジャンプしたお姉ちゃんの手にすっぽりと収まった。
奇襲というにはあまりにもあっけない先制点で、弓様のお手を煩わせることさえなかった。
電光石火の攻撃にやんやの大喝采で、つばめ考案のダンスを皆で踊る「得点の喜び」を披露すると、さらに盛り上がった。
攻守交替となり、鎌倉アルティメット・ガールズのスローオフとなった。
アリサがエンドゾーンからロングスローした直後、メンバー全員が全力でダッシュする。
なるべく相手陣側に押し込み、QBの初手を封じれば、それだけ失点のリスクも減る。複数のクラブチームの練習に参加したお姉ちゃんの分析によれば、「強いチームはスローオフ後のダッシュを決してサボらない」そうなので、とにかく愚直に走るべしだ。
このダッシュを巧妙にサボるのがつばめで、やっぱり今回もサボっていやがる。
「つばめっ!」
運動の苦手な麻乃と同じぐらいの速さで走るつばめを叱責すると、「あー、へいへい」と、いかにもかったるそうに言って、ようやく一段階ギアを入れた。
法律相談リーガルズは苦し紛れにエンドゾーン近くでパス回しをしているが、お姉ちゃんがパスコースを制限し、モッティーが飛びついてカットした。
野球のヘッドスライディングかのような、ど派手なダイビングカットを見せたモッティーがどんなもんだい、と力こぶを誇示してみせた。しばらくバレーをお休みし、腰に負担のかかるスパイクを控えているおかげで、腰の調子はすこぶる良いらしい。
守備に回ったときのモッティーはまさしく水を得た魚ならぬ、水を得た鮫だ。
不用意なパスが目の前にあれば、待ってましたとばかりに食らいつく。
敵陣のエンドゾーン近くで攻守交替となり、相手はお姉ちゃんの高さを警戒していた。
先ほど、麻乃のハンマーにしてやられたこともあり、麻乃へのマークも厳しくなっている。
アリサが意図的に視線を上げ、麻乃ばりのハンマースローを繰りだすふりをする。
高さへの警戒が増し、ディフェンダーの視線が上へと誘導されるなか、我が軍の忍者部隊がこそこそと暗躍を始めた。人波を縫うようにしてエンドゾーンへしゅたたたたたたと飛び込んだミシェルへ、超低空のパスを繰り出す。
「しゅわっち!」
ミシェルはそう言いながらパスをキャッチし、二点目を奪った。得点したミシェルを全員で取り囲むと、つばめが人差し指をもう片方で握り、忍者ポーズをとった。
「ニンニン!」
「ニンニン!」
恥ずかしげもなく皆で忍者ポーズをすると、会場中から割れんばかりの拍手と笑い声が巻き起こった。
試合になった途端に目つきが尋常ではなく鋭くなった弓様も、得点後は楽しそうにしている。弓道着で矢を射るときの姿からは想像できないぐらいにノリが良かった。ちょっぴりはにかみながら忍者ポーズをするところがなんとも可愛らしく、教室内での近寄りがたさは微塵もない。
その後、モッティーがびしばしとパスカットし、弓様の超ロングスローをお姉ちゃんがパスキャッチした。三点目、四点目、五点目と連取し、十分足らずの完勝劇だった。
実力不明の大穴である中学生チームが痛快な勝ち方をしたものだから、会場内は競馬場さながらの大盛り上がりで、焼き鳥と枝豆とビールが飛ぶように売れた。
初戦は準備運動にさえならないような短さであっさり決着がついたが、試合会場は一つしかないため、とにかく待ち時間が長い。
一回戦の全八カードが終了するまであと五カードあり、たっぷり一時間は空くだろう。
モッティーと弓様とお姉ちゃんは入念なストレッチをして身体をほぐしているが、お祭り気分のつばめとミシェルは屋台の方へと遊びに行ってしまった。
通りがかりの響谷プロデューサーに「かき氷食べたいです、プロデューサーさん」とたかり、ブルーハワイのかき氷を買ってもらい、舌を真っ青にしていた。
その後、ハバタキの販売ブースに行き、店番の妃沙子氏と雑談している。
「すげーじゃん! つえーじゃん! 疾風ジャパンも倒せちゃうんでないの」
神と慕う大塚妃沙子が褒めてくれたので、つばめはついつい調子に乗っていた。
「疾風でもなんでもヨユーっす!」
「いいね。じゃあまずはちゃちゃっと優勝しちゃってよ」
妃沙子氏は缶ビールを握りしめており、顔はほんのり桜色だった。
「ほら、行くよつばめ」
どうにも緊張感の足りないつばめの背を押し、ハバタキのブースから離れた。
ブース内には、お姉ちゃんの想い人である小説家の姿はなかったが、却ってそれで良かったのだと思う。もしも見られていると知ったら、きっとぎくしゃくしてしまうだろうから。
しかし、そんな心配は杞憂だった。
鎌倉アルティメット・ガールズは二回戦、三回戦も勝ち上がり、遂に決勝戦を迎えた。
決勝戦の相手は、『浅草ドンナもんじゃスターズ』と決まった。
浅草の老舗の看板娘たちで結成された連合軍らしく、ユニフォームは三社祭の法被のようなデザインだった。三回戦の試合を見たが、動きはきびきび、ちゃきちゃきしていた。
ドンナもんじゃスターズは連戦となるため、十五分の休憩を挟むこととなった。
準備運動をしているあいだ、観客席に場違いなスーツ姿の紳士を見かけた。なんだか見覚えがあるなと思ってよくよく見たら、クラス担任の石田先生だった。アリサと目が合った瞬間、ふいっと視線を逸らされてしまったけど、きっと見間違いではない。
アルティメット部の顧問であるからこの場にいてもおかしくはないけれど、引率はコーチ兼選手であるお姉ちゃんにお任せで、姿を現さないものとばかり思っていた。
「ミシェル、朝はどうやって来たの? おじいちゃんと一緒に来たの?」
「ソウ、パパとキタ」
おじいちゃんをパパと呼ぶ癖はいまだに改まらないが、ジャンピングスローの癖は治った。
現地集合にするか、いったん鎌倉駅前に集まってから皆で現地入りするかを相談したとき、ミシェルはとにかく独りで電車に乗りたがった。
日本に住んで間もないミシェルが清澄白河まで電車に乗ってこれるのかなと心配だったが、ミシェルは「ダイジョウブ。ヒトリデデキルモン」と強がった。なんでも独りでやってみたいお年頃のようだが、結局はおじいちゃんが連れてきてくれたらしい。
浅草ドンナもんじゃスターズの選手たちも準備運動を始めたが、ミシェルはユニフォームの文字に興味津々だった。
「モンジャってナニ?」
「ニンジャの親戚で、下町最強の魂だよ」
「ニンジャよりツヨイ?」
「ニンジャは手裏剣で戦うけど、モンジャはヘラで戦う。でもモンジャはパンチがないから、けっこうペロッとイケちゃうね」
つばめが妙なことを吹き込んでいる。ミシェルの頭の中では、ニンジャとモンジャが壮絶なバトルを繰り広げているのかもしれない。
「もんじゃは食べ物だよ、ミシェル」
一応訂正しておいたが、ミシェルの両目にはクエスチョンマークが浮かんでいた。
「そうそう、ペロッとやっつけちまおうぜ。賞金五十万はだれにも渡さん」
物欲まみれのつばめがそう言い、エンドラインぎりぎりに立った。
決勝戦は、鎌倉アルティメット・ガールズのスローオフからスタートした。
アリサがディスクを投げた直後に全員が全力疾走するが、先頭を駆けたのがつばめだった。
今までの三戦とは気合の入り方が違う。目の前に賞金をぶら下げられたつばめは、目の前にニンジンをぶら下げられた馬並みに気合が入っていた。
しかし眼帯はまだ外していないところを見ると、完全には本気は出していないようだ。
どうにも入谷つばめの辞書には「本気=クソだせえ」と登録されているようで、何かに本気になったところなど見たことがない。常に余力をたっぷり残していて、のらりくらりと余裕をかましながら相手を出し抜くことに喜びを感じる。
そんなつばめが率先してプレッシャーをかけに行くのは頼もしいが、最初から飛ばし過ぎてガス欠が心配だ。
相手もなかなかの試合巧者で、攻め上がりは非常にゆったりとしていた。ハンドラー三人が左右に広がり、小刻みにサイドチェンジを繰り返す。不用意にロングスローを狙わないので、パスがほとんど浮かず、守備職人のモッティーが飛び込んでいく隙がない。
前線の四人は入れ替わり立ち代わりスロワーへ近付き、パスされたディスクへ体当たりするように迎えに行く動きが徹底されている。こうなると、なかなかパスカットは難しい。
ひたすらディスクをキープされ続け、何分間かずっとディフェンスに振り回され続けている。守備に綻びが出来るのをじっと待っているようだが、それにしては攻める意志を感じない。
時間を潰すのが主だった目的で、あえて攻め込まず、意図的にスローダウンしている。
相手は端から五点取ろう、とは考えていないようだ。
試合時間の二十分をギリギリまで消費して、ひたすらディスクのキープに徹し、相手に一度たりとも攻撃をさせない。試合が終了する間際に一点を取れば、反撃の余地はない。
おそらく、そういうゲームプランなのだろう。
ディフェンスに奔走するだけのじれったい展開が続き、試合開始直後は暴れ馬さながらの猛ダッシュを見せていたつばめの足がだんだん重たくなってきた。
麻乃はたびたびディフェンスを振り切られ、ぽっかりとパスを受ける空間が生じる。
隙間となったスペースをアリサが埋めに行くと、そこにまたレシーバーが飛び込んできて、クイックなパスが放り込まれる、という繰り返し。
バチバチの点の取り合いとなれば、つばめは俄然生き生きとするけれど、こういう根競べになると、わりとあっさり脆さを露呈する。
つばめの運動量が目に見えて落ちてきて、麻乃とミシェルの息があがってきた。
鎌倉アルティメット・ガールズは、5対0、5対3、5対2のスコアで勝ち上がってきた。
対する浅草ドンナもんじゃスターズは、三戦すべて無失点のシャットアウト勝ちだった。
じりじりと時間だけが過ぎていくなか、ついついディフェンスが前がかりになっていた。
中盤の密集地帯へ飛び込んでくると見せかけて、くるりと反転し、手薄なエンドゾーンに猛然と走り込んだレシーバーへ、矢のようなロングスロー。
その瞬間、「……やられた」と思った。
しかし、レシーバーに並走したお姉ちゃんは危機を察知していた。
身体を投げ出すようにしてディスクにかろうじて指先で触れ、なんとか失点を防いだ。
「危ない、危ない」
お姉ちゃんがむくりと立ち上がり、十五分近く攻められ続けた守備がやっと終わった。
「ナイスカット!」
パスカット位置まで戻ったアリサは、殊勲の姉を称えた。
「残り時間、じっくり使って一本取ろう」
すれ違いざまに、お姉ちゃんに頭をぽんと叩かれた。
ディスクを奪われると厄介だから、時間をきっちりコントロールしろ、という指示だ。
このままスコアレスで試合時間の二十分が過ぎた場合、先に一点を取った方が勝ちとなる。
理想は、残り五分をたっぷり使い切ったうえで、一撃でゲームを終局させることだ。
その舵取り役を任されたからには、なにがなんでも期待に応えねばならない。
アリサは慎重に慎重を期してゲームをリスタートしたが、ハンドラーの片翼を担う弓様の動きがどうにも危なっかしかった。マークが比較的緩かった一回戦や二回戦ではほとんど表面化しなかったが、弓様は密着マークされた途端に表情が険しくなった。
なかなかマーカーを振り切れず、ストーリングカウントぎりぎりでようやくパスを出した。自宅でドーベルマンやシベリアンハスキー、シェパードを相手にフライングディスクを投げており、ディスク扱いに長けているとはいえ、平素は弓道部である。
動く的を射るような経験は皆無だろう。無論、弓を射るのを邪魔する人間もいない。
ディフェンスの圧力が激しくなると、ディスクをキープするだけでも一苦労だ。
「弓様、上がっちゃって」
どうにも危なっかしいハンドラーの任を解き、弓様を最前線へと上がらせる。
「つばめっ!」
「あいあい」
ディスクを無事に中盤まで運搬するため、眼帯小悪魔を召喚し、護衛役を務めさせた。
つかず離れずの距離でパス交換し、時折ミシェルを交えて目先を変え、じりじりと中盤まで持ちあがった。試合時間はすでに二十分を経過しており、ディスクをエンドゾーンまで持ち込めば、その瞬間に勝ちが転がり込んでくる。
エンドゾーンには弓様、麻乃、モッティー、お姉ちゃんの四人が入り込んでいて、それぞれにマーカーが付いているから、一見して空いたスペースはなく、ひたすらごちゃっとしていた。
平面でのキャッチ力に優れるのはモッティーだが、先投げするスペースがない。
もうここはお姉ちゃんの高さに頼ろうと、一か八かのギャンブルパスを高く投げ上げた。
ぐちゃっとした密集地帯に山なりのパスを投げるのは、無数の鯉がうごめいている池にエサを投げ入れるようなものだ。オフェンスとディフェンスが入り乱れて、揃って上空を見つめ、タイミング良くジャンプするためにぐっと屈み込む。
四、五人が競うように飛ぶなかで、最も高くジャンプしたのはやはりお姉ちゃんだった。
すらりとした長い手が、あまりにも優雅にディスクをキャッチした。
お姉ちゃんがエンドゾーンに着地した瞬間、歓声と拍手が耳をつんざいた。
勝利の手応えは、あまりなかった。
「やればデキる子だって信じてたぜ、アリサ!」
つばめに押し倒されんばかりの勢いで抱きつかれたが、勝利した実感がなかった。つばめは賞金ゲットに浮かれまくっていたが、お姉ちゃんもどうやらアリサと同じような気分らしい。「これで終わり? これで終わっちゃっていいの?」という微妙な表情を浮かべていた。
フィールド横に即席の表彰台が用意され、マイクを持った響谷プロデューサーが現れた。
これから表彰式なのか、響谷プロデューサーは「¥500,000」と書かれた賞金ボードを抱えている。つばめの飛び跳ねっぷりは、エサをねだるあるてぃまよりも激しかった。
「おめでとう、鎌倉アルティメット・ガールズ!」
突き出た腹を揺らしながら、響谷プロデューサーが言った。
もくもくと白煙が焚かれ、どこからともなくドラムロールの音がした。
「君たちは最強への挑戦権を得た! さあ、出でよ! 疾風ジャパン!」
白煙が晴れると、そこに立っていたのは日本代表チーム『疾風ジャパン』の面々だった。
白を基調としたユニフォームの袖には桜のマークがあり、JAPANの文字と日の丸のロゴがある。どうにも本物のようだが、会場に集まった見物客たちもキョトンとしていた。
「ここまでは前哨戦に過ぎない。ここからが究極の挑戦だよ」
「……はあ?」
響谷プロデューサーは賞金ボードを引っ込め、「まだ、あげない」と楽しげに言った。
賞金をもらえるものとばかり思っていたつばめが露骨に顔をしかめた。
疾風ジャパンのメンバーが一歩進み出て、響谷プロデューサーからマイクを譲り受けた。
「私たち、疾風ジャパンもハバタキ杯に参戦を表明します」
日本代表チームの参戦表明が飛び出した途端、会場中が一気にざわついた。
「連戦の疲労を考慮したハンデがないとフェアではないので、疾風ジャパンが五点を取るまでに一点でも取ったら勝ち、というルールでどうでしょうか」
五点を失うまでに、たった一点でも取れば勝ち、というルールは単純明快で、疾風ジャパンはゲームスタートから崖っぷちだ。試合時間はひとまず二十分と定められたが、先の決勝戦のようにわざと時間を潰す理由もない。このルールであれば、きっとガチンコの戦いになる。
負けて元々だし、もしも勝ったら大番狂わせの下剋上だ。
つばめの心配事はもっぱら賞金のことのようだが、そんなものはどうだっていい。
日本代表チームの胸を借りられるチャンスをみすみす逃す手はない。
「やりましょう!」
アリサがきっぱりと答えると、お姉ちゃんの声とユニゾンした。
羽咲姉妹の快諾により、事実上の決勝戦の舞台が整えられた。
疲労困ぱいのメンバーたちの意見も聞かず、疾風ジャパンとの試合を独断で決めてしまったが、ぶつぶつ文句を言っているのはつばめだけだった。
チームを代表してアリサがフリッピングを行い、幸先よく攻撃権を取った。
さて、日本代表チームのお手並み拝見といこうか。
たった一点、とにかく一点取ればいい。
それに攻撃はこちらから始まる。
もしかしたら勝てるんじゃないのかなと思うと、なかなか興奮が抑えられなかった。




