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瞬く間に君は  作者: 奈落
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1、扉の内

僕の家には空かずの扉がある。

それは僕の家で唯一の和室の部屋にあり、

小さい頃から親には

「開けたら怖い鬼さんがでてくるんだよ?」

などと脅し文句を言われていた。

だが僕も今じゃ高校1年、鬼なんてもんがいるはずないなんてことも薄々わかってくるもので、

だから今日、その扉を開けてみることにした。

僕は扉の前に立ち、呼吸を整え

その扉を開けたのだが、、、

「よっしゃぁぁ、ワンキルぅぅ!!」

ガッツポーズしながら嬉しそうに跳ねる女の人がいた。

背丈は高く、スタイルのよいめちゃくちゃ綺麗な人だ。

「、、、へ?」

こちらに気づいたその人は、少し顔を赤らめながら

何事もなかったかのようにゆっくり座り

改めてこちらを向きつつ、僕に話しかけてきた。

「何用だ?小僧」

「いや、無理じゃない?威厳出そうとしても、無理じゃない?」

「、、、なっ、、何用だ?小僧」

「いや、、だからその、、」

「なにようなんだよっっ!!」

もはや威厳なんて関係なしといわんばかりに声をあげている。

目も少し潤んでいる。

「そのぉ、、すみませんでした、、、」

そっとドアノブに手をやり、閉めようとしたのだが、

「待てよ、、」

腕を掴まれてしまった。

「いてぇっ!!いてぇです!マジでいてぇです!」

とんでもない力である。

するとなにかに気づいたような顔をして、

「お前が、、神守隼人か?」

と尋ねてきた。

「え?僕を知って、、って、僕の手なんか色変わってません?なんか痛み感じなくなってきましたよ!?」

「あっ、すまん」

そうやって力をゆるめる彼女。

「いててて、、」

「まぁまぁ手加減したつもりだったんだが、、すまんな」

「いや、、まぁ、僕がノックもせずに開けたのが悪かったので、、というかなんで僕の名前を知ってるんです?」

これは単純な疑問。この人とは会ったことはないし、

仮に居候であれば、今まで家ですれ違ったことすらないというのもおかしな話だ。

「そりゃ、君が私に仕える一族だからな。ガキが生まれたら名前くらい知らされるさ。」

「仕える、、?」

「そそ」

腕を組ながら自慢気に話す。

なんか、可愛いなこの人。

「てことは、あなたは神様だったり?」

「そだぜ。神だぜ。」

「疫病神、、?」

「んなわけねぇだろ!?!?」

なんか面白いひとだなぁ、と思いながら会話をしていると

「ただいまぁ」

と母が帰ってきた。

僕はそれに返すように

おかえりを言おうとしたのだが

「むぐっっ!」

後ろから抱き締められるような形で、口を閉ざされてしまった。

「静かにしろ隼人。お前の両親は私がいることを18になるまで君に伝えないつもりだ。今バレると色々と厄介なことになる。とりあえず部屋にはいれ。」

と流れで部屋に入れられた。

めっちゃいい匂いしたな、、この人。

と、そんなことを考えていると

「多分バレてないみたいだな」

「そんなことわかるんですか?」

「まぁな、一応こんなでも神様って呼ばれてんだ。能力のひとつやふたつあってもおかしくないだろう?」

「まぁ、たしかに、、」

「てーことでっ」

と、そんなことをいいつつ棚のおいてある方に行く神様。

少し見渡してみたが、この部屋には色んなものがある。

神様はずっとこの部屋にいるのだ。暇にならないためだろう。

「あんまりキョロキョロするんじゃない、、一応乙女の部屋なんだぞ」

「あぁ、、すみません、、」

頬を赤くしながら恥ずかしそうに言う神様。

ほんとこの人可愛いらしいな。

両手一杯にゲームのカセットやら何やらをもち、もどってきた神様は僕の前にそれらを無造作に並べながら、

「どれで遊ぼうか、隼人」

と聞いてくるのだった。

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