おいかけっこ
三人プラス二匹(?)はコンパクトの光を頼りに星屑を探した。
ぴかぴか光るコンパクトを見ながら、この方法で星屑が見つかるなら、地面の石と混ざってしまった未知の星屑がたくさん見つけられるかも、と汐は思ったが、今はこの騒動を起こしている星屑を見つけるのが先決である。
コンパクトの光がだんだん強くなっていく。
そして、
「!
あの人」
汐は道路を挟んで向こうにいる若い男を指す。
ここまで近づけば汐にはコンパクトを使わなくてもわかる。
問題の星屑を持ってるのはあの人だ。
どれが星道具なのかわからないが、右手に大きな鞄を提げていた。
しかし、汐たちが道路を渡って声をかけようとすると、男は近づく汐たちに何かを感じ取ったのか、いきなり背を向けて走り出した。
「待ってー!!」
汐は思わず叫び、苫とラウが駆け出す。
しかし、男は陸上経験者かなにかなのか妙に足が速い。汐やラウはすぐに引き離されてしまった。
「きゅー(待てー)!!」
雨も鞄を飛び出してプロペラを懸命に動かして追っているが、残念ながら、ラウより少し速いくらいである。
日頃訓練している苫も速いが、ギリギリ追い付けていない。手を伸ばそうとして避けられている。
そのとき、蠍が汐の鞄からぴょいっと飛び出した。
しかし、今は立ち止まると置いていかれてしまう。
汐はそのまま男を追いかけた。
『あ~、めんどくせぇな』
鞄から地面に着地した蠍は、物陰に身を潜めると、ハサミで左目を隠す。
蠍の姿が、鷹に変化した。
そのまま上空に舞い上がると、鷹は矢のような速さで汐たちが駆けていった方に飛ぶ。
眼下に逃げる男をみとめると、鷹は少し先にある路地裏に飛び込んだ。