第四話雨音に混ざるのは
メサイアに入ってから、早くも二ヶ月が過ぎた。ちょうど今の時期は梅雨に入り雨が多く、気分的にもあまり上がらない日が多いというのに、ドゥームはほぼ毎日、現れその度に討伐しなければいけない、討伐し終えて家に帰り着くとびしょ濡れだ。
「また今日もドゥーム討伐かなー はぁ」ため息混じりにそう呟いた。
一先ず学校が終わり家に帰りのんびりしているとインカムに通信が入ったがノイズまじいで聞き取りづらい。
「商店が…………人型の…………かと…………は至急…………ザザザザ」
「ノイズが酷くて何聞こえないぞ! もう一度頼む」
「…………がいに…………人型のドゥ…………凛花と……………か……至………応戦せよ…………」
「姉さん!」
「分かってるわ、行きましょう!」
母さんに出掛けると伝え、俺達は商店街へと向かった。
商店街周辺は雨が細かくか、霧状態になっていた。
商店街はまだ人が多く居て、ドゥームどころではなかった、避難させようとした時通信が入った。
「商店街に到着した凛花と桜花、此度のドゥームは、人に擬態しているとの情報が入っています、何とか擬態しているドゥームを見つけ出し討伐をお願いします!」
「擬態しているだって? 何か特徴はないのか?」
「擬態しているドゥームは、過去の事例によると何か異音がすると言うことです。 あとギアを纏ったらギアが不調をきたすそうなので、近くに居たら分かるはずです。 最悪の場合ギアが破壊されてしまうので、ドゥームが確定した場合のみギアを使ってください、それではお二人共お気をつけて!」
「じゃあ、私は左周り探すわ、桜花は右をお願い」
「了解! 見つけたら連絡をくれ」
そう言って分かれて探したが一向に見つからないまま2時間が過ぎた。
合流し時計のある広場へ向かうとそこには人の女性がいた、不思議なことに雨が強く降っているのにもかかわらず、音楽が普通に聞こえてきた、これが言われている異音か?
そう思っていると、突然音が止まり雨音だけになった、姉が不安そうにこちらに話しかけてきた。
「ねぇあれってドゥームだよね? 人間じゃないよね?」とそう尋ねてきた。
「あぁ、あれはドゥームだろうな。サクッとやっちゃいますか」そう言ってギアを纏い武器を構えようとした瞬間、脳内に突如声が聞こえてきた。
「何故……何故……何故私なのだ何故なのだ……」
「違う私は、病気ではない!! サミエント・ギアなんて知らない!!」
「アイツラだアイツラが私を嵌めたんだアイツラノセイダアイツラサエイナケレバ」
「底にいる奴らだ私ではない、そいつらだ悪いのはそいつ等だ!!」と声が響き渡った瞬間ドゥームは本来の姿に戻った、その姿は、とても美しい指揮者の姿だ、気がつくと俺は、ドゥームにひざまつき、崇めていた。
「桜花!? しっかりして聞こえてる!?」
なにか聞こえるような気がするが、きっと気のせいだろう。
「ウソッ…私の声が聞こえてない……じゃあ、私一人でやるしかないようね、私の弟を操った事後悔させてやる!! ナイトメアッ!!」
「行け! 我が下僕!! 敵を撃ち抜け!」
そう叫んだ時、桜花が、ドゥームを護るように前に立ち、こちらを見て、口を開いた。
「我が狂気に満ちた狂宴とくとご覧あれ!!」
後ろにいるドゥームも口を開く。
「我が指揮に踊り狂え……さぁユクが良い我が下僕ヨ!!」
弟を無力化しなければ、やつには攻撃できないのか?考えろ私!なにか方法はあるはずだ!
桜花からの攻撃を避けた……筈だった、なのに私の身体は吹き飛ばされている。
「グハッ!」地面に倒れ血を吐く、痛い意識を失いそうなほどに、痛い。そうやっているうちにも弟は、追撃をするべく、こちらに近づいてくる。
なにか方法は?考えている内にもうすぐそこまで迫って来ている、そして一つだけ方法があることに気づいた。
考えている暇はもうないやるしかない、そう自分に言い聞かせた。
弟が剣を振りかざした瞬間、ギアの出力を一気に上げ、行き場を失ったエネルギーを弟にぶつけた、「ゴフッ……」血を吐き、意識をどうにか保ち、敵を見る。
弟は立ち上がろうとしているがエネルギーを受けた衝撃で立ち上がれそうにない、今のうちだ敵を倒す。
「我が眷属もう一度、敵を撃ち抜け!!」そう叫ぶと、ドゥームは指揮をすることをやめ呆然と立ち尽くし、射貫かれた。最期に意味深な言葉を言い消えていった。
「桜花!」弟に近づいた、幸い命に別条はなさそうだ、良かった。桜花は、目を開け呟く。
「ごめんな姉さん、俺が弱いばかりに……」
「そんなコトない、十分桜花は強いよ」
その後メサイアのメンバーに救助され治療を受けた。
何はともあれ、ドゥームが倒せてよかった。
あのドゥームが言っていた「アァ貴方様でしたか、我らが主は此処に!」あの言葉の意味は分からないが今は体を休めるとしよう。
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