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スサノ

「こちらが見学を希望しているセリオンさんです」

「セリオン・シベルスクです。よろしく」

「ええ、当園にようこそ。歓迎しますわ」

綾女がセリオンを園長先生に紹介した。

「当園をご自由に視察してくれて問題ありません。もし、手が空いたのなら園児たちの遊び相手になってくださいね」

「わかりました。ありがとうございます。それと、綾女」

「何かしら、セリオンさん?」

「綾女を見ていた男は俺がぶっ飛ばしておいた。奴は逃げ去った」

「ありがとう、セリオンさん。あの人には困っていたのよ。警察に相談しようかと思っていたの」

心ならずか、綾女の表情が柔らかくなったような気がした。


スサノは変態でマザコン、それにストーカーである。

小さいころから自己中心的で偏った性格をしていた。

とにかくけんかっ早く、粗暴であった。

そのため、小さいころから暴力ざたが絶えなかった。

母親の愛情を知らずに育ったため、「母」を過剰に神聖視する傾向がある。

スサノはとにかくひどいマザコンで、国や法人にまで「母」であることを求める。

本人は自分を「天才」だと思っている。

過去にビジネスを起こしたことがあるが、その性格ゆえに客とトラブルばかり起こし、事業を停止させられた。

その時、スサノは日本国と日本人が悪いと本気で思ったようである。

スサノにとって悪いのは周りであり、自分ではない。

いや、自分が悪いことなどありえない。

すでに中学生の時からストーキングで逮捕され、「父」がカネを警察や検察、裁判官などにばらまいてスサノを助け出した。

「父」は有力代議員とのコネがあった。

スサノの事業による借金は彼の「父」が支払った。

スサノの父はカネの力で物事を解決する男だった。

スサノは日本の法律、慣習、体制、常識のすべてを憎んだ。

それらが自分を不当に処遇していると思った。


午後になり、幼稚園から園児が帰り始めた。

親たちが迎えに来たようだ。

パウル(Paul)君の場合も同じだった。

「綾女先生、今日も楽しかったです。ありがとうございました」

「いいえ。パウル君も今日の授業をよく聞いていたわね」

そこにパウルの父が現れた。

「パウル、さあ、帰ろう」

Vatiファーティ! さようなら、綾女先生!」

「あなたが綾女先生ですか?」

パウルの父は金髪で緑色の目をして、青いスーツを着ていた。

「はい、私が綾女です」

綾女は少し、緊張しているようだった。

「あなたのことを私はパウルから聞いています。すばらしい先生だと」

「そんな……それほどでもありません」

綾女はほおを赤くした。

「失礼、自己紹介がまだでしたね。私はフランク・シュルツ(Frank Schulz)と言います。初めまして」

「は、はい。初めまして。坂木 綾女です」

「先生には悪い知らせがあるんです」

「悪い知らせ、ですか?」

「ええ。私たちは来週フランクフルトに戻ることになりました」

「え? それではパウル君も?」

「はい、私たちは家族を連れてフランクフルトに帰ります。せっかく日本に慣れてきたことでしたが、残念ですが……」

「わかりました。今週はパウル君を甘えさせてあげようと思います。日本での思い出に」

「それでは失礼します。パウル、行くよ」

「うん、Vati (パパ)!」


次の日スサノはカメラを持って幼稚園に現れた。

さすがの園長先生もこのストーキングには頭に来たのか、すぐに警察に連絡した。

到着した警察によって、スサノは公務執行妨害、傷害罪、ストーキングなどの罪で現行犯逮捕された。

スサノは手錠をはめられ、パトカーの中に押し込まれていった。

スサノは留置場に入れられた。

「だせー! ここから出せー! このわしを出さんかー!」

スサノは大声で赤子のようにわめきたてた。

スサノはさらに格子こうしをガンガン叩いた。

あまりの大声に職員が出てきた。

「おい、おまえ! 静かにしろ!」

「うるさい! うるさい! このわしに命令するなあ!」

「黙れと言っている!」

「わしをここから出せー!」

「ええい、うるさい奴め! これ以上うるさいと別な部屋にうつす……!?」

職員が体をバラバラに切断された。

その先には黒いフードをかぶった少年が立っていた。

その手には鎌を持っていた。

「君はここから出たいかい?」

「出たいに決まっておる!」

スサノは傲然と答えた。

「では闇の力に興味はないかい?」

「闇の、力!?」

「フフフ、どうやら興味があるようだね。さあ、闇の力の前に心を開くんだ」

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