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怖くないオバケ

作者: 仁志隆生

 昔々ある村によくわからんオバケがいました。


 というのもこのオバケは人を驚かせる事はしませんでした。


 いつもただふわふわ浮いてるだけで


 顔も怖いどころかどこか愛嬌のある顔なので、村人からは犬猫を見るような感じで好かれていました。



 ある日の事です。


 村の一人の男が道を歩いていると、向こうから野盗の集団が来ました。


 男はびっくりしてとっさに岩陰に隠れました。



「へっへっへっ、この村にゃ食いもんも金も結構ありそうだな」


 どうやら村を襲って強奪するつもりのようです。


「どうするべか、今から助けを呼びに行っても間に合わん」


 男がそう思っていると、野盗の前にオバケが現れました。



「ん? なんだこの間抜けそうな奴は?」


「お頭、どうしやす?」


「かまわねえ、やっちまえ!」


 野盗の頭がそう言った途端、オバケは普段の愛嬌のある顔から


 ものすごく恐ろしい顔に変わり、巨大化しました。



「な、なんだいったい!?」


「や、やべえんじゃねえか?」


「どうしやすお頭・・・・・・お頭?」


「うわっ、お頭が立ったまま気絶してるぞ!?」


「おい皆、逃げるぞ!」


 そう言って野盗達は逃げて行きました。



 野盗達が去った後、オバケの顔も大きさも元に戻りました。



 


 岩陰から彼らを見ていた男は


「なんだあいつら、オバケを見て逃げ出したぞ? あれが怖いなんてどんだけ臆病なんだべ?」


 男にはいつものオバケがいつも通りふわふわ浮かんでるだけにしか見えていませんでした。



「もしかしてあいつ、なんか不思議な力でも使ってたんべか?」


 そう思いオバケに近づいて尋ねてみましたが、いつもどおりの顔で返事はありませんでした。



 男はお寺に行き和尚さんにこの事を話しました。


 すると和尚さんはこう言いました。


「あのオバケは人の心を映し出すことができるようじゃ、じゃから野盗のように悪い心を持ったものにはオバケが恐ろしい物に見えたんじゃろ」



 やがて村中にこの事が伝わり


 オバケがいつまでも愛嬌のある顔に見えるように生きていこう。


 そう村人達は思いました。




おしまい


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― 新着の感想 ―
[良い点] これは確かに怖くない。 ホンワカしました。
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