広がる不安
僕にだって他人と同じく持ってる物は沢山ある。
例えば人間関係。
友人と呼べる人が2人。好きな人が1人僕にはいる。
この3人とは4年前、中学生の時からの仲だ。
「おーい、秋人ー!」
僕は1年ぶりの掛け声に反応することなど出来なかった。
「やっと一緒のクラスになれたな!1年間どうだった?」
僕の放っといてくれオーラにも動じず僕の唯一の友人
松田拓斗は続ける。
「秋人?なあ、秋人……」
拓斗は恐らく察しただろう。コミュ力が高く、常に生徒カーストの中でも頂点クラスにいるような人間だ。
「どうした?秋人、なんかあった?」
僕には何故か皮肉にしか捉えることが出来なかった。
「あ、あぁ、ごめん拓斗、ボーッとしてた」
いざ彼の前に立つと堕天使になれなかった。
「良かった、普通で!」
「え?」
「だって秋人昨日帰りに変な事言ってなかった?」
あ、言った。あの皆に無視されたやつ!
「あ、うん、でも、気にしないで……!」
「そうか??」
「うん!きっと空耳だよ!」
「あぁ、分かったよ秋人」
バレバレの嘘だった。
拓斗は自分の席に着き、友人と話していた。
僕は1人授業の準備をしている。
それでいいんだ。僕なんて。
授業が終わり、僕は例の同好会へと進む。
今日は何をやってもいつもよりダメダメだ。
一回も厨二病発言してないし。
階段を降りている時だった。
「よ!上村!」
今日は多分ついてない、僕の過去を知ってる人に沢山遭遇する。こいつにも会うとは。
僕の堕天使キャラを唯一打ち明けた人物
上田栞奈はすごい。
僕の秘密を話す気もなかったのに全て打ち明けてしまった。楽になれた。
栞奈は無言の僕にずっと付いてくる。
「付いてくるなよ、気持ち悪い」
嫌気が指し、僕は心にもない言葉を吐く
「気持ち悪いとは酷いなぁ、思って無いくせにぃ~☆」
すごいポジティブだな。栞奈。
「で、何?俺今から行く所あるんだけど」
「だはは、俺だって、秋人一人称僕でしょ?」
「うるさい!」
僕は堕天使でありたいんだ、口で僕と言ってた頃なんか忘れてくれ。
そして同好会のある部屋に着く。栞奈はまだ隣にいる。
「栞奈、俺もう行くから……」
「私もこの部屋に用事あるよ!」
「ん?」
「私も魔力と悪魔同好会に入るんだ!」