エセ堕天使の大冒険
「いざよいし漆黒の刻が我の静寂を凌駕する。。」
もはや自分でも何言ってるかすらわからない単語が、終業式を終え、今まさに帰る寸前だというクラスメイト全員に目掛けて無意識に口から飛び出す。
初めて同じクラスになった人も含めた僕以外のクラスメイトの39人はことごとくスルー。それどころか去年同じクラスだった人間は1度もこちらに目を向けることなく友人と会話を続ける。
1年間の慣れって怖い!僕はコソコソと1人教室を後にした。
そんなことはさておき、これからとんでもなく僕のライフを削る行動に出なければならない。今朝の女子の学生証と僕の学生証を交換しに1年生のフロアまで行き、年下の異性に話し掛けなければならない、恐らくここ数年で一番の踏ん張り所だ。
「落ち着け僕、相手は年下だぞ……」
「パッと渡してパッと受けとるだけ……」
自分自身を自己暗示でなんども落ち着かせ僕は1年生のフロアまでたどり着いた。幸いにも見渡す限りでは1年生はいない。
今がチャンスだ。一気に今朝会った小野奏のいる1ーBの教室まで距離を詰める。。着いた!
やった、やったぞ!
関門の1つである「1年生のフロアまで行く」をクリアした!……とは言っても本題はここから、小野奏に接触しなければならない。よし、ここの教室か。心臓の鼓動と共に揺れる右手でドアノブを握った。