118話 意味のない戦い 「僕のヒーローアカデミア」
ポリスロボは見ていた。
緑谷出久と爆豪勝己の意味なき戦いをー
しかし、誰にも止めることは許されない。
「じゃあ俺の憧れは間違ってたのかよ」
出久の頭の中で爆豪の言葉が反芻する。
出久を睨み付ける爆豪とは対照的に、出久は怯えた表情のままである。
「待てって!本当に戦わなきゃいけないの!?」
友達である爆豪との戦いに、出久は意味を見いだせないでいる。
一方、爆豪は手に炎を宿す。
「間違ってる分けないじゃないか!君の憧れが間違ってるなんて誰も...!!」
BOOM!!!!
脇もふらず爆豪は出久に攻撃をする。
「待てってば......」
「逃げんな!!!戦え!!!」
爆豪の出久に対する強い思いが戦いへと誘う。
いつも出久は俺の後ろをいたのに。
どんたけぶっ叩いても、いつも背中に張り付いていやがったのに。
同じ人に憧れたのに。
俺がオールマイトに認められるはずだったのに。
何で!何で!何で!
爆豪の蹴りが出久の顔を打つ。
出久は体制を整え、自らの身体を守るために思わず爆豪に強打を食らわす。
よろめき。爆豪は思わず後ろに手をついてしまう。
「だ......大丈夫」
「俺を心配すんじゃねぇ!!!」
心の優しい出久は思わず倒れる爆豪を思わず心配してしまう。しかし、爆豪はその言葉を、白と黒のコントラストのように突き放した。
「戦えよ!!何なんだよ!」
激しい口調で爆豪は訴える。
「何で!!
何で!!ずっと後ろにいた奴の背中を追うようになっちまった!!」
爆豪は自分に問いかけているかのように出久に言う。
「クソザコもてめぇが力をつけて...!オールマイトに認められて...強くなってんのに!なのに何で俺はっ
俺は......オールマイトを終わらせちまったんだ」
言葉が出久の心を打つ。
爆豪の心の臓から絞り出したかのような、あふれでる気持ちが出久の心にも染み渡る。
「俺が強くて、敵にさらわれなんかしなけりゃ、あんな事になってなかった!」
爆豪の自分に対する後悔の念があふれでる。額を少し手でぬぐい始める爆豪。
「オールマイトが秘密にしようとしてた...
誰にも言えなかった!!考えねぇようにしてても......
フとした瞬間に沸いて来やがる!
どうすりゃいいか、わかんねぇんだよ!!!」
額から涙が溢れる爆豪を、ただただ見るしかできない出久。
その姿に爆豪の心が揺れ動かされる。
すっと...抱え込んでーーー...!!
僕なんかよりずっと......
悩んでたんだ!考えてたんだ!
本当に戦わなきゃいけないの?
この戦いに意味なんてないかもしれない。
勝ち負けにも意味はないかもしれない。
それでも僕はやらなきゃって思った。
かっちゃんのこの気持ちを受けられるのは僕しかいないんだから。
身体に気をため、かまえる。
「やるなら......全力だ!!!!!」
出久は覚悟を決めた。
爆豪の想いを正面から受け入れると。そして、戦うことを。