巻き込まれる不運な転入生その1。弐
雪煉は目を瞬かせる。
「縞柄……?」
「えっ?!?!」
悪びれはない。
戸惑いもなく発せられた一言に女子生徒は驚いた表情で雪煉の方に振り向いた。
「あ、いえ。見えた下着の柄が縞g「言うなぁ!み、見てんじゃないわよ!!」アベブッ…!」
驚いている女子生徒に再び言おうとしたら顎に回し蹴りを食らわせられた。
男さながらの威力のある蹴りで雪煉は跳んだ。
ヒラリ、と今度は鳩頭たちの方にも下着が見えてしまう。
A「おー!ほんとに縞柄だぞ!」
B「あの人間、ラッキースケベだな。侮れねーっす」
「おまえ達も見てんじゃないわよ!なのです!」
B「うわぁ、理不尽」
A「不可抗力っしょ、執行生!」
鳩頭と執行生と言われている女子生徒は言い合っている。
執行生の頬はリンゴのように真っ赤だ。とてもウブ(純粋)である。
雪煉は吹き飛ばされるものの。
背中に背負っていたリュックサックがクッションの代わりになってくれた。
お蔭で自分が吹き飛ばされた通りの植木に頭や背中はぶつけずに済んだみたいだ。
だが、顎がズキッズキッ…と痛みを信号してくる。
しかも、先ほどまで感じていなかった膝と肘が痛み出した。
たぶん…というよりは確実に転んだ拍子に傷を負っていたのだろう。
《僕、さんざん過ぎませんか…?転入初日にこの仕打ちは最悪です》
「実に最悪です…」
ポツリと弱音を呟いて、ゆっくりと立ち上がった。
なにやら騒がしい雰囲気。
執行生たちの方に視線を移した。
「うるさい奴らね!!そこまで言うなら勝負しなさい!」
《勝負…?》
A「いいねー!執行生だからって容赦しねーかんな」
B「くくっ、楽しもうじゃん!」
《あの人達はいったい、何を始める気なんです??》
向かい合う3人を雪煉は困惑の表情で見つめる。
「レッツ!」
A・B「「ファイトなんだぜ!このやろー!」」
3人はどこからともなく刃物や金属バットを取り出して、ぶつかり合った。
《えぇっっっ?!!?》
雪煉は驚きすぎて、声にならず絶句した。