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この結婚、死んでも嫌です

この結婚、死んでも嫌です:番外編ーチャックの冒険

作者:
掲載日:2026/03/16

チャックが家から出て、迷子になっていた間の話です。

どうやって迷子になって、どうやってマリアたちと出会ったかという話。


チャックの視点が、殆どひらがなで、少し読みにくいかもしれないです。お暇な時にぽつぽつと、でどうぞ。


「チャック様、どちらに、おいでですか?」


 じじょのこえ。

 いっしょに、いつものにおいがくる。


「くしょん」とはなをならした。


 どのじじょも、すごくにおう。

 ジョエルさまがちかくにくると、それはもっとおおきくなる。

 おおきくなって、ぶあーってジョエルさまをおそう。


「ジョエルさま、にげて」


 はじめてみたときは、おどろいてさけんじゃった。

 でもジョエルさまは、へいき。

 きっとジョエルさまは、つよいんだ。

 さすが、ぼくのごしゅじん。


「チャック様、お昼御飯ですよ。出てきてください」


 うわあ、ごはん!


 ぼくは、ぴょんぴょんと、とびだした。

 ぴかぴかのおさらに、ぼくのだいすきなごはん。

 おさらのまえにすわって、いただきますっていって、おさらにかおをつっこんだ。


 ――おいしい―――!


 いっしょけんめいたべたら、ねむくなってきた。

 そうしたら、じじょがぼくをもちあげてさすった。

 ゆびがちょっといたい。

 このじじょは、ゆびがいたいひと。

 

 ジョエルさまのゆびは、いつもやさしくてきもちいいのに。なぜかな。

 ぼくのこと、すきじゃないから?


 ぼくをねどこにおいたあと、じじょがにわにでた。

 ドアがあいてる。


 にわにでられる。

 いまならにわであそべる!

 ぼくはいそいでドアからでて、にわにかけだした。


 すこしあそんだら、ねむくなった。

 くさのなかでおひるね。

 おきて、またあそんだ。


 ちいさいくろいのが、じめんのうえをあるいてる。

 いちれつだ。

 まえあしで、タシッておさえた。

 はいでて、またれつになる。

 すごくおもしろい。

 

 いっぱいあそんでつかれちゃった。

 あれ?

 うしろに、ぼくのへやがない。

 へやが、かってにどこかへいってしまったのだ。


 だめだなあ! ぼくのへや。


 ぼくはへやをさがすことにした。

 たくさんあるいて、たくさんはしった。

 いろいろなものとあそんでいたら、おおきなうまがみえた。


 うまは、しっている。

 ぼくがこのうちにきたときに、うまのひく、ばしゃにのってきたんだ。


 ぼくはうまに、こえをかけた。


「こんにちは。なにしてるの?」


「仕事だよ。後ろに引いている荷物を運ぶんだ。坊やは何しているの?」


「へやがどっかにいっちゃったの。さがしてるとこ」


「部屋はどっちにあるの?」


 ぼくは、あっち、とあたまをふった。


「俺は今からそっちに帰るんだけど、乗って行くか?」


「うん。ありがと」


 ぼくはうまのおじさんにおれいをいって、うしろのだいにのった。


 だいはゆらゆらしながらすすむ。

 わらのうえにのっかっていたら、ねむくなってきた。

 すごくきもちがいい。


「坊や。ここまでだよ。降りな」


 すっかりねていたみたい。


「うん、ありがと」


「部屋はここらにあるのかい? 大丈夫かな?」


「うん、だめなへやを、ちゃんとみつけてあげるんだ」


 うまのおじさんは、ちょっとこまったように、ぼくをみている。


「さっきの場所に戻りたくなったら、ここにこいよ。また明日、あそこに荷物を運ぶからね」


「うん、ありがと」


「おいおい、マーキングして、匂いをつけておきなよ。場所がわからなくなるよ」


 ああ、マーキングかあ。

 なんとなくしっている、きがする。

 ぼくは、あしをあげて、おしっこをした。


「じゃあ、その匂いを頼りにここへ戻っておいで。部屋がちゃんとみつかるといいね」


 ぼくはそこから、へやをさがしはじめた。

 でもすぐに、くらくなってしまった。

 くらくなると、ねむくなるんだよね。

 

 はこがいっぱい。そこにもぐった。

 あったかいなあ。


 ぼくのへや、ごめんね。

 あした、おきたら、さがすね。


 

 あかるくってめがさめた。

 まわりは、おにわとちがって、ひとがいっぱいいる。

 ちいさいにんげんもいる。


 ちいさいにんげんは、はじめて。

 ぼくより、ちょっとおおきいのもいる。あれって、にんげん?

 よつあしだから、べつかも。


 ぼくは、ひとがおおいほうにむかった。

 だって、おもしろいもん。


 でも、おなかすいた。ごはんはどこ?

 じじょは?

 おへやといっしょに、あそびにいったのかな。


「おい、坊主、見ない顔だな。どこから来たんだ」


 おおきいくろいいぬがはなしかけてきた。


「こんにちは。うまのおじさんにのせてもらってきたの」


 くろいおじさんは、ちょっとくびをかしげている。

 

「親か、飼い主は?」


「わかんない。じじょもおへやといっしょに、どこかへいったの」


「侍女? いいとこの子か?」


「じじょはにおいがきらいだから、いなくてもいいや」


「おお、女の付ける匂いはきついもんがあるな。まあ、おいおい慣れるから、しばらく我慢しろよ」


 そこに、ちゃいろのいぬがやってきた。


「何してんだ? 見かけない顔した坊主だな。どうした?」


「もしかしたら迷子かもしれない。部屋がどっかにいったんだとさ」

「家じゃなくて、部屋か?」


 ちゃいろのおじさんが、ぼくにきいた。


「うん、おにわであそんでいたら、いなくなったの」


「俺は、庭に出て後ろを向いたら家が見えるけどな。後ろを向いたら部屋がいなかったのか。どんだけ広い庭なんだ?」


 くろいおじさんが、こたえた。


「いいとこの子なんじゃないか?」

 

「そりゃあ、大変だなあ。いつから部屋を探しているんだ?」


 ちゃいろのおじさんが、ぼくにきいた。


「ねるまえ。いっかい、くらいくなった」


「それじゃあ、腹が減っているんじゃないのか?」


「うん、ごはんがでてこないんだよ」


 ぼくはちょっとだけ、なきたくなった。


「待て。泣くなよ。何か持って来てやるから」


 そういって、ちゃいろいおじさんは、はしっていった。

 すこしして、パンをくわえてもどってきた。


「ほら、食えよ」


「ありがとう。いただきます」


 パンが、すごくおいしい。


「いいとこの子だな」

「ああ、いいとこの子だな」


「おい、坊主。名前は?」


「ええと……リチャード・アウグ……トゥ?……フォン?……ううんんっと」


「短く言うとなんだ?」


「チャック」


「そうか、可愛い名前だな」


「かなり、いいとこの子だな」 


 ふたりはぼくをみている。


「ぼく、へやをさがしにいくね。ありがと」


 ちゃいろのおじさんがいそいでいった。


「おい、見つからなかったら、ここに戻ってこいよ。いいな」


 ぼくはマーキングをした。


「よしよし、ちゃんとマーキングしたな。この場所は覚えたな」


「うん。だいじょうぶ」


 そういってから、「のどがかわいたの。みずはどこ?」


「この道を真直ぐ行くと、広場に出る。そこの真ん中に大きな噴水があるから行ってごらん」


「うん、ありがと」


 そういって、ぼくはまっすぐみちをはしった。みちのさきがあかるい。

 ひろばにでると、まえにおおきなふんすいがあった。

 みずだ!!


 ふんすいのはしに、あしをかけて、いっしょうけんめい、みずをのんだ。おいしい―

 みくちめくらいで、きゅうに、からだがもちあげられた。


 ばたばたしたけど、ぜんぜんうごけない。

 すごいいきおいで、ぼくはそらをとんでいく。

 そのままばしゃにのせられた。


 おへやをさがしにいけない、どうしよう。なきそうになっていたら、きれいなこえがした。


「可愛くて可哀想な子。こっちに来る?」


 やさしいめが、ぼくをみている。

 このひとのとこに、いきたい。ぼくはまえあしを、いっぱいにのばした。

 おんなのひとは、ぼくをやさしくだっこして、なでてくれた。

 このひとのにおいは、やさしい。このひとのゆびも、やさしい。

 ジョエルさまとおんなじ。


 おんなのひとにくっついていると、おちつく。

 ぼくは、ゆっくりとめをとじた。

 そうしたら、おんなのひとは、ぼくのなまえをよんだんだ。


「チャック」


 ぼくのこと、しってるんだ。すごい。

 すごく、うれしい。


 それから、おんなのひとはなまえをおしえてくれた。

 わたしはマリアよって。


 マリア、だいすき。



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