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『日常の中の怪異』 ― 私が体験してきた不思議な話 ―  作者: かゆると


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9/40

十二単の女の子

白いワンピースの女の子を見てから

一ヶ月経つか経たないかくらいの頃だった。



その日は、私ひとりで二階の部屋で寝ていた。



夜中、ふと目の前で

何かが動くような気配がして目を覚ました。



視界に入ってきたのは

豆電球のついた小さなオレンジ色の光。



その薄暗い部屋の中に――


女の子が立っていた

いや、正確には、浮かんでいる…

十二単を着た女の子だった。



前に見たときと同じように

体は少し透けていて

そしてやっぱり……

顔だけが、なぜかはっきり見えない

でも、私はなぜだかすぐに思った。



――あ、あの子だ



不思議と怖いとは感じなかった

それよりも頭に浮かんだのは

まったく別の疑問だった。



〈なぜこの子は、十二単を着てきたんだろう?〉



そんなことを考えながら

私はしばらくその子を見つめていた。



すると女の子は

まるで{見て見て}と言いたそうに

ふわり、ふわりと

ゆっくり宙で揺れ始めた。



その様子を見て

ふとこんなことが頭をよぎった。



〘……あれ?

 もしかして、褒めてほしいのかな?〙



私は思わず笑って

「似合ってるよ、可愛いじゃん」

そう声をかけてみた。



すると女の子は

それに応えるみたいに

ふわふわと嬉しそうに揺れて――

そのまま、すっと消えていった。



私はしばらく

女の子がいたはずの空間を見つめていた。



そして頭の中では

ひとつの疑問だけがぐるぐると回っていた。



〈なぜ……十二単だったんだろう?〉



十二単は

平均で十二~十五キロほどあるという

いくら幽霊とはいえ

着るのも脱ぐのも大変だろうに。



どうしても見せたい理由があったのか

それともただ単に着てみたかっただけなのか……。



頑張って着ているあの子を想像すると

怖さよりも

思わずクスッと笑えてきてしまった。


挿絵(By みてみん)

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