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『日常の中の怪異』 ― 私が体験してきた不思議な話 ―  作者: かゆると


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暗い画面の向こうにいた"自分"

これは

今の家に引っ越してきたばかりの頃の話だ。


前の家で、アナログ放送が終わったときに

買い替えた液晶テレビを

息子がおもちゃをぶつけて壊してしまっていた。


そのこともあってか――

新居祝いにと、義父がテレビを買ってくれた。


32インチの液晶テレビだった。


それまでは

古いブラウン管テレビで過ごしていたから

新しいテレビが来たときは、素直に嬉しかった。


生活にも慣れてきた頃。


その日は、息子の寝付きが悪く

いつもより遅い時間まで起きていた。


なんとか寝かしつけて、

一人でリビングに戻る。


何か温かいものでも飲みながら

少しテレビでも見ようと思って

電源の入っていないテレビに

リモコンを向けたときだった。


――あれ?


画面に映る自分の姿が、反対を向いている。


(んん~……?)


ゆっくり、テレビに近付いてみる。


やっぱり、後ろ向きだ。


後ろを向いたままの“私”が

こちらに近付いてくる。


部屋の様子は、いつもと変わらない。


テーブルも、ソファも、置いてある物も。


全部、そのままなのに――


動いているのは、“私”だけ。


怖い、というより


(なんだこれ)


(ちょっと……面白いかも)


不格好な後ろ姿に、少し笑えてしまい

少しだけ遊んでみようかと思った。


その瞬間。


テレビの中の“私”が

ゆっくりと、こちらを向いた。


暗くて表情はよく分からない。


でも――


目が合った気がした。


そのとき、違和感に気づく

画面の中の“私”は、

リモコンを持っていなかった。


なんで?


そう思ったけれど。


こちらを向いたことで


(あ、元に戻った…かな?)


そう思って

リモコンの電源ボタンに指をかけたとき…


テレビの中の“私”が、

急にこちらへ近付いてきた。


一瞬で、画面いっぱいに顔が映る

とても、怒っているように見えた。


怒っている、というより――


こちらを見ていること自体が

気に入らないような。


驚いた拍子に

そのまま電源ボタンを押してしまう。


普通にテレビがついた。


(あ……ヤベッ)


慌ててもう一度電源を切る。


暗い画面に自分が映るが

もうそこに、“私”はいなかった。


あれが何だったのか、今でも分からない。


ただ――


最後に見た、あの顔。


あんな顔を、自分がすることがないように

そう思って生きている。


けれど――


あのとき、画面に映っていたのは

本当に、“私”だったのだろうか。

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