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『日常の中の怪異』 ― 私が体験してきた不思議な話 ―  作者: かゆると


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41/43

大事にしろ。

これは、今の家での話だ。


少し前に、動画で見かけたものがあった。


『旦那や彼氏を玄関で見送ったあと

 すぐに勢いよく扉を閉めて鍵をかけ

 一人の時間だと全力で喜ぶ』


そんな、少し悪趣味な遊びだ。


正直、初めて観た時はどうかと思った。


けれど……


いつも淡々としている旦那が

どんな反応をするのか――

ほんの出来心で、やってみたくなった。


ある日の朝。



「それじゃ、行ってくる」



「いってらっしゃい。

 気をつけてね、無理しないで」



いつも通りに見送る

そして――


バン!

ガチャ!

ガタン!


勢いよく扉を閉め

鍵とチェーンをかけて、叫んだ。



「よっしゃああああ!

 お一人様じかーーん!」



そっと、玄関を振り返る。


(……あれ?)


(来ない?)


そう思った、次の瞬間。



――ドンドン!



扉を叩く音がした。


(あ、きたきた

さすがに怒るのか)


そう思って扉を開けようと

手をかけたそのとき

違和感に気づいた。


扉の中央には、すりガラスがある。


普通なら

そこに人影が映るはずだった。


けれど……

何も、映っていない。



――ドンドンドンドン!



音は、強くなる。


私はその場を離れ

リビングの窓から外を見た。


旦那の車は、もうない。


とっくに出勤している。


玄関に戻ると

まだ音は続いていた。


なぜか、そうしなければいけない気がして

私は小さく言った。



「……ごめんなさい」



その瞬間

音は、ぴたりと止んだ。


しばらくしてから

すりガラスに

何も映っていないのを確認して

扉を開ける、誰もいない。



ただ――



雨でもないのに、玄関の前には

濡れた足跡が残っていた。


階段を、下りていくように。


あれが、誰だったのか

今でも分からない。


旦那は昔から

病気にしろ、なんにしろ

不思議と大事になる手前で

助かることが多い。


もしかしたら……

旦那を『守っているなにか』に



「バカなことをやってるんじゃない!

 大事にしろ!」



そう、怒られたのかもしれない……。

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