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『日常の中の怪異』 ― 私が体験してきた不思議な話 ―  作者: かゆると


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38/43

鳴らないはずのおもちゃ

これは、10年ほど前

友人の家での話だ


私と息子と旦那の三人で遊びに行った。


友人の子ども達は

当時、上の子が小学校低学年

下の子は息子と同い歳で幼稚園前。


お兄ちゃん代わりにと

上の子がよく息子を面倒をみてくれたものだ。


午後一時過ぎにお邪魔して

みんなでリビングで談笑していた。


子どもたちも全員リビングにいて

お菓子を食べながら

あーでもない、こーでもない

と賑やかに話していた。



「今日、夕ご飯も食べてけば?」



ふいに友人がそう言うと

子どもたちがすぐに



「外食したい!」



と言い出した。



「たまにはいいねー♫どこ行こうか」



そんな話をし始めた、そのときだった。

二階から――


突然、音楽が聞こえてきた。

全員、リビングにいる。



「ん?何の音?」



そう聞くと、子どもたちが言った。



「あ、それ僕のおもちゃ!」



上の子が好きな車のおもちゃらしい。



「付けっぱなしか~い

 電池もったいないから止めといで?」



そう言ったけれど

子どもたちは外食の話に夢中で動かない。



(ま、いいか…おばちゃんが止めたげますよ)



そう思って、私は立ち上がった

階段を上がると、音はすぐに分かった

上の子の車のおもちゃだった。


絵本みたいな形になっていて

ページを押すと車の音や

メロディが流れるタイプらしく

その音楽が、ずっと鳴り続けていた。


(最近のおもちゃって、よくできてんだなぁ)


そう思いながら、私は裏返してスイッチを探した。

……見当たらない

探している間も音楽は鳴り続けている。


(んー、分からないな。

 あ、そっか!電池抜けばいいじゃん)


そう思って、電池カバーを開けた。

そして――


思わず声が出た



「え……ウソ……」



単三電池が二本入るはずの場所に

電池は入っていなかった。


その瞬間だった

さっきまで鳴り続けていた音楽が

ピタリと止んだ。


私はしばらく…その場から動けなかった。



『おーい、おもちゃ分かった?』



遅い私を心配して友人が様子を見に来てくれた



「うん…分か…ったんだけどね」



あまりのことになんて言えばいいのか

迷っていると

友人はおもちゃを一目見て、あっさり言った。



「ああ、大丈夫大丈夫」



そして、笑いながら続けた。



「ここ越してきてから

 たまにあるんだよね」


「悪さするわけじゃないから

 気にしなくていいよ」



その言い方があまりにも普通で

私はそれ以上何も言えなくなった。


そのあと、子どもたちもやってきて

急かす子供達に手を引かれながら

階段を降りた。


リビングでは、さっきと同じように

外食の話で盛り上がっている

笑い声も、空気も、何も変わらない。


(気にしなくていい……か)


そう思いながら

何気なく二階へと視線を向けた

――そのとき。


さっきの音楽が

ほんの一瞬だけ鳴った

誰もいないはずの、二階から。


私は――もう一度だけ、そこを見上げた。

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