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『日常の中の怪異』 ― 私が体験してきた不思議な話 ―  作者: かゆると


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32/42

体育館のボール

その日は体育でバレーがあった。


私は団体競技が大の苦手で

球技も得意ではない。


バレーなんて

正直、やりたくなかった。


しかも姉はバレー部のエースで

担任はその顧問。


比べられるのは分かっていたから

余計に気が重かった。


それでも授業だから拒否権はない。


仕方なく

試合に参加したのだが――

案の定、私のチームは大敗だった。


原因は、ほぼ私で


ボールを拾いに行って転び


顔面に当たり


打てば変な方向に飛び


上げたボールは天井に挟まって落ちてこない。


分かってはいたものの…

自分でも笑えるくらいの

運動音痴っぷりだった。


試合のあと

負けたチームが片付けをすることになった。


ネットやポールを片付け、

ボールをチームの皆で拭いた。


後は、しまうだけ。


その仕上げを

私が引き受けることにした。



「すぐ行くよー」



そう声をかけて

一人でボールのかごを押して

体育用具室へ入った。


そのときだった…

どこからか

バレーボールが一つ

転がってきた。


赤と白のボール。


当時使っていたのは

真っ白なボールだったから

少し違和感があった。


(昔のやつかな?)


そう思って

拾おうと手を伸ばした。


すると――



コロコロ……



ボールは奥へ転がって止まった。

もう一度、手を伸ばす。



コロコロコロ……



さらに奥へ転がる。


(……なにこれ)


何度やっても、同じだった

拾おうとすると

逃げるように転がる。


そのうち、ふと思った。


(……拾われるの、嫌なのかな)


そう感じて

そのまま教室に戻ろうとした瞬間――



トンッ



かかとに何かが当たった。


振り返ると

さっきのボールがあった。


(えー……なんなの)


仕方なく拾おうとする

でもまた



コロコロ……



奥へ転がる。


戻ろうとする


かかとに当たる


拾おうとする


逃げる……


それを何度か繰り返しているうちに

だんだんイライラしてきた。


そして――

かかとに当たったボールを

軽く後ろに蹴った。


その瞬間だった。



ガンッ!!



ボールが勢いよく

天井にぶつかったかと思うと

そのまま

ボールかごの中に入った。


(……は?)


自分で入った……

そうとしか思えなかった。


頭をひねりながら、そのまま用具室を後にした。


帰り道、姉に聞いてみた。



「ねえ、赤と白のバレーボールって

 使ったことある?」


「赤と白?

 ないよ。なんで?」


「……ううん、別に」



それ以上は何も言わなかった。


(やっぱり……あのボールは……)


そう思ったけれど

それにしたって――


なんだか

バカにされていた気がして

少しだけ腹が立った。


あの時間のせいで

着替えてる時間がなくなり

結局、体操服の上から

セーラー服を着るはめになった。


今思い出しても……

やっぱりあのボールは

最後まで性格が悪かったと思う。

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