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『日常の中の怪異』 ― 私が体験してきた不思議な話 ―  作者: かゆると


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30/40

保健室の人影

その日は、生理痛の二日目だった。


その月の生理はいつもより重く

お腹も腰も痛くて仕方がなかった。


頭痛もしてきて、さすがに早退も頭をよぎる。


ただ、私たちの時代は

帰りたいと言っても簡単には

帰してもらえない時代だった。


まして担任も副担任も男性。


今なら普通に言えることでも

当時の私はまだ言い出せずにいた。


自分で言うのもなんだが…

まだ恥じらいというものがある

乙女時代だったのだ。


それでも三時間目が終わる頃

ついに限界がきた。


吐き気もしてきて

座っているのもつらい。


意を決して担任に事情を話すと



「保健室で少し休んで

その後は保健の先生と相談するように」



と言われた。


保健室へふらふらと向かい

保健の先生に話をすると

同じ女性同士、辛さをすぐに理解してくれ 



「鎮痛剤を飲んで少し寝てみて

 良くならないようなら帰りましょう」



と言ってくれた。


言われた通りにしてベッドに横になると

少しだけ楽になった。


静かな時間が流れ…

うとうとし始めたその時。


ベッドの周りを囲っていた

カーテンが少し開き

保健の先生が顔を出した。



「どう?少し楽になってきた?

 私は少しやることがあるから

 職員室にいるね。

 何かあったら内線を使って呼んでね 」



そう言って、先生はカーテンを閉めた。

そして――



ガラガラ……バタン。



保健室の扉の開閉音がした。


(先生出て行ったんだな)

と思ったのだが……


しかし、すぐに



ガラガラ……



また扉の開く音がした。


(あれ?忘れ物かな)

と思った。


けれど――

そのあと、扉が閉まる音は聞こえなかった。


起こさないように気を使ってくれているのかな

そう思いながら、再びうとうとし始めたその時。


シャラ……


カーテンが、少しだけ開いたような音がした。


音のした方を見ると

カーテン越しに人影が見え

カーテンも、かすかに揺れている。


でも――

声をかけてこない…

そして、中にも入ってこない。



「……先生?」



そう声をかけてみたが

人影は動かなかった。


まあ、いいか。

そう思ったのと同時に

鎮痛剤が効いてきたのか

私はそのまま眠ってしまった。



「……さん、……さん」



名前を呼ばれ

肩を軽く叩かれる感触で目が覚めた。


先生だった。



「調子は、どう?

 無理そうなら…今日は帰ろうか。

 一人で、帰れる?」



体調は少し良くなっていたが

今日は帰ることにした。



「一人で帰れるので大丈夫です」



そう答えて帰り支度を始めた。

その時

ふと、先ほどのことを思い出した。



「先生、さっき出ていったあと

 すぐ戻ってきて様子を見てくれましたよね」



そう聞くと、先生は不思議そうな顔をした。



「え?

 私、さっきまで職員室にいたわよ

 職員室に行ったら

 すぐ電話につかまっちゃって。

 あ、担任の先生には

 私から伝えておくからね」



そう言いながら、先生は

書類に目を落としたまま答えた。


私は思わず

保健室のベッドの方を振り返った。


じゃあ、さっき

カーテンの向こうに立っていた

あの人影は……

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