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『日常の中の怪異』 ― 私が体験してきた不思議な話 ―  作者: かゆると


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音楽室の返事

音楽室には

昔からいろいろな噂があった。


有名な音楽家の写真の目が動くとか

夜になると誰もいないはずの部屋から

音が聞こえるとか…

いわゆる、よくある学校の怪談だ。


でも、その中でも

私たちの学校で有名だった七不思議が一つある。



――夜中の0時、音楽室でピアノが鳴る。



ただ、みんな


〘夜中に誰が聞いたんだ〙


と笑い飛ばしていて


私も全てを否定はできないが

確かにそうだと思っていた。


とある日、音楽の授業があった。


今はあるのか分からないが

当時はアルトリコーダーという

ソプラノリコーダーより

ひと回り大きな笛があった。


それの発表の日だったのだが

家に忘れてきてしまった。


一学年上の姉に借りようと思い、

姉の教室までお願いしに行った。

けれど――



「絶っっ対嫌。

 素直に忘れたって先生に言いなよ」



と、頑なに断られてしまった。


仕方なく先生に話すと

音楽準備室にある予備を

借りていいと言われた。


発表は、なんとか無事に終わった。


授業が終わり教室に戻ったあと

借りたアルトリコーダーを

準備室に戻していない事に気が付いた。


放課後でも良かったのだが

次の授業までは、まだ時間がある。


急げば間に合う

そう思って

一人で音楽室の横にある準備室へ戻った。


リコーダーを洗い

棚に戻そうとした、その時だった。



――ぽーーん



音楽室の方から

ピアノの音が聞こえた。


友達が来てくれたのかもと思って

準備室から音楽室へ入ろうとすると



――ぽーーん



もう一度、ピアノの音がした。


やっぱり誰か来てくれたんだ

そう思って、声をかけた。



「ありがとー

 来てくれたの?」



音楽室に入ると――

誰もいなかった。



「あれ?

 確かにピアノの音が聞こえたのに」



そう言いながら、ピアノを見ると

蓋は閉まったままだった。


気のせいか…と思い

音楽室を出ようとした、その時。



ーーーぽん、ぽーん



後ろでまたピアノの音が鳴った。


今度は二回。


振り返る。


でも、やっぱり誰もいない。


私はその時……

なんとなく分かった。


今まで何度も

こういうことを経験してきたからだ。


もしかしたら――

一緒に弾きたいのかもしれない。


でも



「……ピアノ、私弾けないから。

 ごめんね」



そう言って音楽室を出た。


廊下に出て、扉を閉めたその時――


後ろから



ーーーぽーん



まるで

『わかったよ』と返事をするように

ピアノが一度だけ鳴った。

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