修学旅行の写真
養源院を見つけられないまま
私たちは、かなり疲れて宿に戻った。
部屋は二人部屋だった。
修学旅行だからか、疲れていても
『ああでもない、こうでもない』と
話はなかなか止まらず楽しい時間を過ごした。
部屋で何枚か写真も撮った
そのとき、カーテンは閉まっていた。
着いたのは夕方。
外も少し暗くなりかけていたし
ビジネスホテルのような宿だったので
特に違和感はなかった。
そして翌朝。
支度をして、何気なくカーテンを開けたとき
思わず声が出た。
窓のすぐ下がーー
お墓だった。
「えー、マジか」
「夜カーテン開けなくてよかったね」
友達と二人
そのときは、その程度の話で終わった。
当時はまだスマホも携帯もない時代で
写真は使い捨てカメラで撮っていた。
だから写真は、後日現像になる。
しばらくして出来上がった写真を見て
私は少し驚いた。
部屋で撮った写真の何枚かに
白い玉のようなものが写っていた。
たくさん、ではない。
――無数に。
そしてもう一枚。
消してあったはずのテレビの画面に
女性がこちらを覗いている写真があった。
それは、あまりにも色ツヤはっきりしていて
テレビの中に本当に人がいたのではないかと
錯覚するほどだった。
正直、びっくりはした
でも同室だった友達も肝が据わっていて
「まぁ、仕方ないよね」
「だよねー
だって隣、お墓だったもんね」
そんな感じで笑っていた。
ところが――
自由行動を一緒に回っていた
友達二人にその写真を見せたとき
一人は…うるさいほど怖がっていたが
もう一人は、こう言った。
「それならさ」
「私たちの部屋で撮った写真にも
なにか写ってなきゃ、おかしくない?」
そのとき私は気づいた
その二人の部屋は
私たちの部屋の真上だった。
つまり、お墓が下に見える部屋は
私たちだけではなかった。
なのに――
二人の写真には、何も写っていなかったのだ。
そして、もう一つ。
テレビに写っていた女性の顔は
こちらを見ていた。
もし、画面に映ったのが
私たちの姿だったとしたら
テレビに反射した顔のはずだ。
そうだとしたら
テレビ側から写真を撮ることになる
けれど、それは無理だった。
テレビは壁の棚に埋め込まれるように
置かれていて、ベッドも棚も壁に
ぴったり付けてあった。
つまり、テレビの横や、裏に回り込んで
写真を撮れるような場所は
そこにはなかったのだ。
結局、理由は分からないままだったが
友達と先生と相談して
その写真は後日、お寺に預けてきた。
でも――
これは完全に推測だが
今思うと…
もしかしたら、あの女性は
楽しそうな私達の声を聞いて
「私も入れて」
そう言いたかったのかもしれない。




