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『日常の中の怪異』 ― 私が体験してきた不思議な話 ―  作者: かゆると


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窓いっぱいの顔

中学生の頃、両親が新しく家を建てた。



それまで住んでいた古い家から

徒歩五分くらいの場所だった



そのため引っ越し業者は使わず

荷物は自分たちで少しずつ運ぶことにした。



その日、母方の祖父母が

新しい家を見に来てくれた



でも両親は買い出しに出ていて

古い家には私と姉だけが残っていた



祖父母と談笑しながら荷物の片付けをしていると



「だいぶ片付いてきたな、新しい家まで運ぶか」

と祖父が言ってくれて

私たちは荷物をいくつか持って車に乗って向かった



家が見えてきたそのときだった

私たち姉妹が使う予定の部屋の窓から

おじさんがこちらを見ていた

五十代後半くらいに見えたと思う



作業している様子はなく…

ただ窓のところに立って

こちらをじっと見ていた



「業者の人かな?」

そう思ったけれど

両親からそんな話は聞いていない



車はすぐ家の前に着き鍵を開けて中に入る

けれど――

家の中には、誰もいなかった



そのすぐ後、両親も帰ってきて

みんなでご飯を食べたり

荷物を運んだりして過ごした



そして…その夜。



両親は古い家で荷物の整理をすることになり

私と姉だけが新しい家に泊まることになった



ところが夜中、私は突然高熱を出した

意識が朦朧としていたため

ほとんど覚えていない。



姉は両親に連絡しようとしたらしいが

当時は携帯電話もなく

家の電話もまだ繋がっていなかった。



古い家へ両親を呼びに行く事も考えたらしいが

私を残していくのが怖かったらしく

姉は一人で必死に看病してくれたそうだ。



そして朝。

不思議なことに、私の熱はすっかり下がっていた。



目を覚ました私に

姉は本当に安心した顔で言った。



「よかった……ほんとによかったよ…」



「お姉ちゃん、ありがとう…

 心配かけたよね」



「いいんだよ、でも、本当によかった…」



今にも泣き出しそうな顔の姉に思わず謝った



「1人で看病してくれたんだね…

 本当、ごめんね」



すると姉は、少しビクッ!とした後

困ったような怯えたような顔をした。



「ねぇ……覚えてないと思うけどさ」



「ん?」



姉は少し迷ってから言った。



「“暴れてない?”って……」



「……え?」



「何回もね…

『暴れてない?

 暴れてない?

 ああ、ごめんなさい』って

 ずっと繰り返し…繰り返し言ってたよ」



意識が朦朧としていたせいで

私はもちろん記憶はない。



でも――

今になって、どうしても気になることがある。



あの日、車から見えた…あの窓の人



新しい家は平屋で

窓も腰くらいの高さしかない。



なのに、あのとき私には

窓いっぱいに顔が見えていた。



そして――

私は、その人の体を見た記憶がない。



覚えているのは顔と、目だけ。

丸くて、大きくて

驚いたみたいに見開いた目で

ただ、じっとこちらを見ていた。



あのとき窓にいたのは…



もしかしたらーー

あの夜、私が謝り続けていた

〘誰か〙だったんだろうか


挿絵(By みてみん)

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