門の前の列
祖父母の家で
あの髑髏のような顔を見てから
しばらく月日が流れた頃ーー
私はまた祖父母の家に泊まることになった
今回は子ども部屋で二段ベッド
上段に私、下段に姉が寝た。
そしてその夜……
私は不思議な夢を見た。
夢の中で、私は人の列に並んでいた
しゃくりあげるほど泣いていて
どうして泣いているのかは分からない。
ただ、涙だけが止まらなかった。
前にも後ろにも人がいて
皆、黙ったまま同じ方向へ歩いている。
空は真っ暗…
夜というより光そのものがないような暗さだった。
その中を、ぼんやりと赤い光が照らしている
炎のようにも、提灯のようにも見える光…
列の先に、大きな門があった。
お寺の門のようでもあり
本で見た地獄の門のようでもある
不思議な門だった。
門の上には文字のようなものが書かれていたが
日本語ではなく見たことのない形の文字で
外国の文字というわけでもない。
門の横には、鬼が立っていた
背が高く、灰色の体の大きな鬼…
手には、太い棒を持っている。
列の先頭に来た人は
門の前に立ち、そして必ず
扉に手をかけようとする。
その瞬間――
鬼が棒を振り下ろした
鈍い音が、闇の中に響く…
殴られた人は、倒れることもなく
頭から崩れるように溶けていった。
まるで最初から泥でできていたかのように
その場で黒い泥になって地面に広がる
私はそれを、何度も見た。
一人、また一人。
鬼が棒を振り下ろすたび
人が泥になって消えていく。
怖いというより、なぜか悲しい…
泥になっていく人たちを見ていると
胸が締めつけられるようで
私は泣き続けていた
列はゆっくり進んでいき、やがて私の番が来た
私は門の前に立った
けれど、扉には触れなかった
ただ順番が来たから、前に出ただけ。
そのとき…鬼が私を見た
何故かそれまでと様子が違い
鬼の顔が、怒っているように見えた。
それまで淡々と人を殴っていたのに
私のときだけ、明らかに怒っている。
私はハッと気付いた
〘この顔は……〙
祖父母の家で見たあの髑髏の顔と同じだ。
あの棚の上からじっと私を見つめていた
あの黒っぽく灰色がかった髑髏の顔と
まさに同じだ。
鬼は棒を振り上げる…っ!
思わず右腕で、顔を庇った。
その瞬間――
私は目を覚ました。
子供部屋の天井が見え、布団の中で
私は荒く息をしていた。
頬が濡れていることに気づく
夢の中と同じように、私は泣いていたらしい。
しばらくして落ち着き、私はふと右腕を見た。
腕が少し熱い気がしたからだ
そこには、細長く赤い痕が残っていた。
まるで――
太い棒で殴られたような形だった……




