二。
あまりの眩しさに目を閉じてしまった。
そうやって数秒、閉ざされた瞼すら貫く光に気が狂いそうになる。あの変なココナッツシャンプーを作った人も、こんな経験をしたんだろうか。
だったら、そんな物を作ったのも少しは理解できるか。
なんて呑気なことを考えてると、急に光ったのと同じく急に光らなくなった。
もういいのか、目を開けと。
私の家じゃない。
ここどこぉ?
私死んだ?
前に死んだ時とはかなり違うけど。
「突然、申し訳ございません」
あ、桃色。
「ここは…貴方が住んでいた世界とは全く違う世界です」
今は光ってないな。
光らないと桃色だって意外と……普通だな。
それよりここ、かっこいいな。壁とか。
「単刀直入に言うと……あの、聞いてますか?」
「うぅん、全然」
教会みたいなところなのかな?すぐにも動きそうな人が石で造られてる。
行った事はないけど、ヨーロッパの……そう、ゴシックって名前のやつと似てる。やっぱり異世界って中世ヨーロッパの建物がいっぱいなのか。
「ちゃんと聞いてくれないと、困りますけど」
「言っていいよ。耳には入ってるから」
「……じゃあ続きます」
漫画もそうだし、小説もそうだし。
日本から見た異世界はだいたいこんな感じなんだよな。
私的には昔の日本を舞台にした異世界が見たいけどねぇ。こういうの見飽きたし。
でもそういう話ってなーんか戦国時代の物語っぽくなるし、難しいな。
だからあまり作らないのかな。
「――という状況です。そのため―」
わー、めっちゃわかりやすい説明。魔王があれこれ大変だから倒してって。
私昔から気になったんだけど、なんでこういうのってよそ者の力を借りるのかな。物語だと神様がなんちゃらで、それとも運命がどうのこうので、勇者様しか倒せないって言われるけど……
その世界の神様ってなにやってるの?って感じ。
たくさんの人が口を揃えてあれやってくださいって叫んでるのに、なーにもしてくれないんだよな。
やるなら自分の手下に任せばいいのに敢えてよそ者に仕事預けて…
「勇者様には神様の加護が――」
あ、ここも同じなの?私、勇者様やらなきゃいけないの?
いや楽しそうだけど。
私一応神様なのに、大丈夫なのかな。加護とか通じないんじゃない?
じゃあ魔王とか倒せないじゃん。
「―だから是非、力を…」
ま、そろそろ仕事して生きるのも飽きて来たところだし。
旅行って思って楽しんでみようか。
帰りたい時はいつでも帰れる気がするし。
「うん」
「え、いいの?」
さっきまで丁寧だったのに、急に口調変わった。
そういえばここ人ないな。
教会なのに、この子だけなのは変だけど。
「じゃ、じゃあ…!」
「うああ」
引きずられるぅ。服が汚れちゃうぅ。
「ぇ…え?ちょっ…」
え、待って。この子ちょっと力強くない?
全然解けない。
「待って、待ってって」
「あ…ご、ごめんなさい…つい」
あぁ……神様なのに、まともな抵抗もできず二十歳くらいの女の子に引きずられた。私、神様なのに……泣く子も黙らせる怖い神様だったころもいるのに…
なんて敗北感。
「だ、大丈夫だすか?なんか、顔色が……」
「大丈夫……」
きっとまだここの世界慣れてないからだよ。
うん。
私、神様だもん。
弱いわけないじゃん。