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十五。

「あー……」


 ようやく静かになると思ったのに。

 また私のとこにやってくるやつらが見えた。

 なんでこんなに耳がいいのだろう。もう戦いたくないよ私。


 あーぁ、私の代わりに戦ってくれる都合のいい神様が魔法とか打ってくれないかな。目の前で私に駆けて来る六匹を一気に片付けるくらい派手なのが欲しいな。

 私くらい大きい火玉が飛ばされたり――


「え」


 出た…!


 どこかででっかい火玉が飛んできて、そこに立っていた者はもちろん、地まで丸ごと燃やしてしまった。

 骨も残らないんだ。地も丸焦げじゃん。


 これって私がやったのかな。でも私ただ願っただけだよ。

 神様が神頼みしたら、それを聞いた神様が手伝ってくれたのかな。

 ちょっとややこしいな。


 周りを見渡してもそれらしき人は見当たらない。

 野生動物すら見えない。

 あるのは動物の形をした敵のみ。


 本当に私がやったのか?

 異世界ってもしかして、私にもチート補正とかあるのかな。

 もっかい試してみようかな。


 さっきみたいに、また願ってみよ。

 今度はちょっと遠いところで様子を見る三匹を倒してください。

 同じ火玉で十分――


「出た!」


 なんとなんと。

 私の願いを叶えてくれる神様みたいなのがここにはあるみたいだ。

 いやー、いい世界だね。やっぱ神様も神様なりの願いとかがあるからね、それを聞いてくれる神が必要だって昔から思ってたよ。


 んで、残りは何匹だ。さっき見えたのが37で、今15匹倒して、負傷者の手当をするのも何匹がいそうだから。

 わからん。

 目の前に22匹が群れているのしか見えない。

 ま、このまま倒せばなんとかなるでしょう。


 火玉に何匹か消されたせいで、すぐみんな散開した。

 じゃあ今度は雨とか降って欲しいな。ファンタジー漫画とかでよく見える炎の雨みたいな、広いとこ一気に片付けるのが好き。


「うわぁ……」


 思ったよりすごいの出ちゃった。地獄みたい。

 空からは火の雨で、地からは火の柱で、ちょっと趣味悪いんじゃないかな。

 私ここまで願ってないけど。


 ま、とにかく全滅だね。魔法凄いなやっぱり。

 私も帰ったら学んでみようかな、魔法。


 ささ、槍の回収だけしてさっさと帰りましょうか。


「ちょっと待ちなさい」

「はい?」


 なんか声が聞こえたよ。

 あと、ほのかに神様しか出せない匂いがする。

 もしかして私の願いを聞いてくれた神様なのかな。


「お前何者ですか」


 姿が見えないね。人見知りなのかな。

 ここで勝手に隠れてるとこに入り込んだら迷惑なのかな。

 迷惑だろう。


 でも、行きたいな。

 行っちゃお。


「答えないつもり――」


 微かに感じられる、神様の匂いを辿って。

 匂いが一番強いところを思いっきり切り裂くと、神様の居場所に無理矢理入り込む事が出来る。


「こんいちは」

「え、まっ、え?ぇなんで」


 うわー、服かっこいいね。イラストに出る神様みたい。

 角みたいなのが生えてる。

 この神様って魔王の方の神様なのかな。

 じゃあ人側の助けを無視するのも理解出来るか。

 いやでも、さっき魔法で手伝ってくれたよこの神様。


「こちらの世界にお世話になっております」

「あ、はい……」


 んー、顔も美形だね。

 やっぱり神は美しい必要があるのか。

 私もそろそろ綺麗な顔になる時が来たのかも知れない。


「ここからちょっと遠いところからやって来た朝比奈紬って申します」

「ぁ……あ、すみません。ここの神様を務めているヤノと申します」


 ヤノさんだって。

 私が知ってる神様の中にも矢野さんがいたね。


「えっと…本日は紬様の正体を暴こうと来ましたけど……」

「あなたと同じ者です」

「つまり神だと」

「そうですね」


 ここの世界って神様が少ないのかな。

 めっちゃがたがたしてる。


「えーっと……楽しんでますか?」

「楽しんでますよ」


 話すのも変だよ。


「えー…じゃあ、私はもう帰るので…ごゆっくり?」


 まぁ普通の神様って人とあんま喋らないからコミュニケーション能力が低いのは仕方ないけど。

 こんな神は流石になかったよあっちでは。

 帰っちゃったよもう。


 なんだったのだろう。

 これ以上暴れるなみたいな事でも言いたかったのかな。

 まあ必要ならまたいつかまた来るだろう。


 まずは帰ろう。

 疲れた。

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