ソフィ・シュテインの弱点
私、Sランク冒険者で4次元生命体の神人族であるソフィ・シュテインは、基本的に無敵だ。
私の魔法を使えばあらゆる傷も致命傷も重篤な病気も一瞬で直せてしまう。
特にキノコ神拳というギャグ補正を他人はおろか世界にまで押し付けてギャグ漫画みたいにしてしまう奥義がある。
そのせいで爆発に巻き込まれても黒焦げで済むし高所から落ちても地面に埋まるだけ、何なら頭から真っ二つにされても次のシーンで元に戻ってる理不尽の塊だ。
ついでに1日3回までなら死んでも生き返る(24時にリセット)というオマケ付きで、一応保険で『24時間絶対死なない代わりに効果が切れると即死する魔法』まである。
·····我ながら理不尽すぎる。
だがそんな私にも、弱点がある。
◇
「がぁぁあああっ!!ちくしょーっ負けたぁー!!!どうすりゃセンセーに勝てるのよ!無理ゲー!!!」
「だってSランク冒険者だし、キノコ神拳の師範代だし?」
現状を説明すると、私の妹イデアの友人で私が丹精込めて育ててる1番弟子のマリアちゃんとの修行で、コテンパンに倒した所だ。
ちなみにキノコ神拳でも普通に魔法の撃ち合いでもCQCでも圧勝した。
「んふふ、まだまだ成長の余地ありっと」
「なに嬉しそうにしてんの、私ぜんっぜん嬉しくないだけど?ヒトの不幸見て笑うとかサイテー」
「まぁまぁ落ち着いて、·····反抗期入り始めたかな」
ただ、最近強くなってイデアにも勝てるようになってきたせいで増長してたから徹底的に叩きのめしたせいで、割と機嫌が悪くなってしまった。
「·····センセーって弱点とかないの?キノコ神拳の修行メンドクサいし、それ以外で普通に倒したいだけど」
「無い!」
「クソが」
「·····って言いたい所なんだけど、弱点というかなんというか、弱い部分はあるよ」
「どこ!?教えてそこ重点的に攻撃するから!!」
そしてようやく、本日の本題へと突入した。
私の弱点?についてだ。
「私も最近気がついたんだけどね、なーんか私、昔からしょっちゅうお腹壊してるのよね·····」
「·····え、そんだけ?」
「そんだけだけど、相手を倒す時はそういうのも重要だよ?お腹が弱い的に腐ったもの食わせてトイレに籠らせるとか色々·····」
そう、実は私は昔っからよくお腹を壊してトイレに籠る事が多い。
なんならしょっちゅう·····いや不可抗力だけど漏らす事もあった。
····· 私の名誉のために弁明するけど毎日じゃないからね?不可抗力だから、お腹攻撃されて衝撃で漏れたとかだから。
「腹痛とか病気の類も魔法でなんとか出来たらいいんだけど、体の防衛反応だから無理に止めると逆に体壊す可能性が高いからできないのよね·····」
「ふーん」
話をまとめると、私は身体の免疫などの反応による病気(風邪、食あたり、アレルギー反応(花粉症))なんかは容易に止められないし、他にも日焼けとか巻き爪みたいなジワジワとダメージが増えるタイプの怪我も止められない。
だから、一見無敵の私でも完全では無いという訳だ。
「『上』に居る全知全能の神様なんかもねぇ、全知全能とは言うけどこの前ガチャでハズレ引いてキレ散らかしてたし、なんでも知ってる訳じゃないのよ?」
「·····で、それが先生を倒す方法に繋がるの?」
「繋がらないよ?私は死なないし」
「チッ!」
マリアちゃんは盛大に舌打ちをした。
行儀が悪いなぁ、反抗期だねぇ。
「·····で、なんで腹壊す事多いの?たしかに先生って授業中にもたまに居なくなるし」
「違うから、ギルドとか他のクラスからのヘルプに行ってるだけだからね?·····たまにトイレ行くけど」
そんで今日の本題なんだけど、私が割とお腹が緩い理由はこの世界の料理と私の食生活が原因だ。
「マリアちゃんって屋台の料理買い食いする?」
「しないけど、それが何?」
「私、屋台の料理とか好きでよく食べるんだけどさ、ぶっちゃけ衛生的じゃ無さすぎてかなりヤバいのが多いのよね·····」
「あーーーーーー·····」
この世界はまだまだ文明が日本ほど発展してなくて、衛生管理なんかあったもんじゃないレベルで雑だ。
一応スパイスが大量に採れるダンジョンがあるから保存という意味での衛生管理は出来てるし、冷蔵庫は魔道具として存在してる。
だからちゃんとした店で食べれば安全にお腹を壊さずに食事は出来る。
·····が、そこら辺の道端でやってる屋台となると話は変わってくる。
ぶっちゃけインドの屋台くらい雑で、冷蔵庫も基本的に無いから半分腐ってるのを承知の上で食べる必要がある。
まぁ強いて言うなら、水を作る魔道具は割と安価だし飲み水を確保する魔法を使える人も多いから水に関しては結構大丈夫なくらいかな?
そんな訳で、魔法学校の生徒にも主に食中毒が理由で帰り道の買い食いは禁止されては無いけど止めるよう言われてるのを、私は入学当社から食べ続けていた。
「だから私、よくお腹壊すのよ·····」
「私も何度も壊したわ····· ちゃんとしてほしいわ」
/ここで朗報!シルフ村にリニューアルオープンしたこの僕こと風の大精霊ウィンディがやってるお店なら屋台でも衛生管理バッチリ!ぜひご贔屓にね〜\
「·····」
「·····」
風に乗ってなんか聞こえてきた。
なにやってんだ風の大精霊。
「ま、まぁ押し売りは無視して、この世界で衛生的にしろなんて言うのまだ早いし、面倒くさがらないで私が食べる前に滅菌魔法掛ければいいだけなんだけどねぇ·····」
「·····バッカじゃないの?先生、なんでそんな魔法あんのにかけないの」
「ん?だって食欲に勝るものなど無いからね」
ちなみに滅菌魔法は作ってるけど、大抵出来たてを食べたくて掛ける前に食べるから腹を壊す。
我ながらアホだとは理解してる。
で、話をちょいと戻して、私は冷蔵庫の話題を話し始めた。
「まぁでも、フシ町では私が出資したりして共有だけど使える大きい冷蔵庫設置したりしたからだいぶマシになったのよね」
「なんでマグウェル街でもやらないの?」
「3日で盗まれたわ、んで取り返してその日のうちにバラされて部品がバラ売りされてたから諦めた」
「うわぁ·····」
そんな訳で、この世界がもっと発展しない限りは屋台で何か食べるとお腹を下すリスクは消えないって訳よ。
つまり私のお腹が弱いのは私が悪いんじゃなくてこの世界が悪いって訳ね。
「·····つまり先生の弱点って、気を付けてれば何も無いってカンジ?」
「うん、無いよ?」
「キモッ·····」
キモッはないでしょキモッは·····
私は愛弟子にひどいことを言われ、割とマジめに弱点でも作ろうか悩んだのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
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「あっでも、特殊勝利なら出来るよ?展開的に面白そうだったら普通に負けるし撤退したりするからね、ギャグ展開だったらアッサリと死ぬし」
名前:マリア
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「つまり····· 結局キノコ神拳で何とかしろって事じゃない!めんどくさ!!!」




