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精霊指定都市 シルフ


「えー、本日はシルフ村制定記念式にお集まり頂きありがとうございます、本日は風向きもよく、風の大精霊様の恩寵にあずかるこの村らしい良き日となりましたことを御礼申しあげます」


 フシ盆地には西側に国内最大の魔法学園都市マグウェル街、東側にサークレット王国屈指の鉱山の街で生まれ故郷のフシ町が存在していた。


 そして今日、この盆地に新たな町が誕生した。


 その名も『シルフ村』、数年前に風の大精霊が新たな店をオープンした事と、元々街道の休憩拠点として半分違法なキャラバン村があったが発展して規模が大きくなったため、ついに正式に村として認められたのだ。


 んで今日はその村の制定記念式典の日ね。


「·····僕、なんかやっちゃったかな」


「ガッツリやってましたね、酔って歌った酒場の詩で自分が大精霊って白状してましたし」

「だよねぇ·····」


 ちなみに決め手はコイツ、元々この世界のアドリア海あたりで店をやってた風の大精霊ウィンディだ。

 ·····ドジって自分の正体がバレて大騒ぎになって、しかもその話が『猛烈な台風からこの場所を僕が守った』だったもんで、大精霊の恩寵を受けた聖地になってしまった訳だ。


 ちなみにさっきバ〜カって罵ったら宇宙まで飛ばされた。


「で?キミはなんでここに居るのかな?」

「お兄ちゃ····· 町長が某やんごとなきお方に絡まれたんでフシ町代表として来たんですよ」


 そんでもって、私がこの式典に来てる理由は3つ。


 1つ目は私はこう見えて隣町のフシ町の町長の娘で、現町長のお兄ちゃんが出席するはずだったんだけど急遽やんごとなきお方(前国王様)の無茶ぶりに付き合ってるため、代理での出席を余儀なくされた。


 2つ目は、私が風の大精霊(コイツ)を呼び寄せる遠因になったからその責任感だ。

 面倒なの呼び寄せたのちょっと罪悪感あるのよね。


 そんで3つ目は·····


「それと、私も監修してる魔動車道と魔導鉄道が交わる交通の要衝にする予定なんで、ついでに大規模な倉庫とか荷物の集積場を作るためにかなり出資したんで居て当然ですよ?」


「·····初耳だねぇ、それ」


 私はこの新たな村を、新時代の技術のための実験都市にするつもりなのだ。


 ·····まぁ、元からフシ町とマグウェル街を繋ぐ道と南北に列島を横断する街道が交差する地点の休憩所だから発展してたのに便乗するだけなんだけど。


「ともかく、この村はあばら家とかはありますけどほとんどまっさらな状態d『まっさらタウ「言わせませんよ!?まったく·····」


 こいつ、隙あらばネタ入れてくるから話しにくいのよね。

 とりあえず閑話休題って事で次行くね。


「つまり君が言いたいのはこういう事でしょ?『この場所に最新鋭の魔導都市を作りたいけど、元々無法で建てられたバラックがあって邪魔だけど退かせる理由が無いから、正式に村と認めて行政として立ち退きさせる』だよね?」


「言い方が悪い、実際はもっと穏便なやり方ですよ」


 元々ここには旅人のための安宿やら行商人が勝手に作った店とか拠点が沢山あったんだけど、犯罪の温床になりかねないくらい発展してた。

 でもフシ町もマグウェル街も管轄外だから手を出せなかったのよ。


 で、ついにこの度この脱法村の撤去に踏み出すことになり、オマケというか国に報告したメインの目的は魔導近代都市の設立という事にして、元々あった集会所を潰したのだ。


「でも苦労したでしょ〜?この村、お店やってる僕が言えた事じゃないけど治安かなり悪いし、ゴネた人沢山いるんじゃない?」


「無理やり立ち退きさせましたよ?」



 そんで元々住んでた·····勝手に家建てて利権を主張してきた人には、穏便に済ませそうな人はお金と私が作った魔結晶、そして新しくできる村にちゃんとした家を建てられる利権を譲った。

 で、ゴネた人には家が潰れる程大量の私謹製の魔結晶(数十トン)をプレゼントして立ち退きさせた。


 ·····その他、犯罪拠点とかタチの悪い奴らは家諸共消し飛ばし·····はしてないけど、普通に捕まえて牢屋送りにして万事解決だ。



「ちなみに1番ゴネたのテメーだから、一等地に店を出させろってずっと言い続けて大変だったんだからね?」


「えへっ」


「結局1歩も譲歩してくれなくて、都市計画が決まるまで立ち退きしてくれなかったし自分から店が一等地になるような計画提案してくるわで、ほんっとに·····」


「·····え、えへっ?」

「今度はアンタが宇宙行く?私の全力のアッパーカットで」


「自分で行けるから遠慮しとくかなぁ、おっとそろそろ雑談は控えないとね!式典の邪魔になっちゃうよ?」

「アンタから話しかけたんでしょ····· もういいけどさ」



 風のように自由奔放なコイツに食ってかかると疲れるだけだから私はこれ以上の追求をやめたのだった。




 そんなこんなで無事に式典は終わり、私はその後に行われている宴に混ざらせて貰っていた。

 ちなみにウィンディさんのお店が料理の提供とかやってる。


「ん〜、美味いっ!流石はフシ盆地産のワインだなぁ、この味好きだわぁ」


「ふふふ、ワタクシもそう思いますわ」

「正直よく分からないが、その通りだ!!」


「·····何も理解してないならフィルクスは黙ってて?」


 んで、宴会でワインを嗜んでいると私の元に村長と副村長がやってきた。


「フィーネ村長はまだ分かりますよ、ウィンディさんの1番弟子ですし」

「1番弟子だなんてそんな、ワタクシはただの精霊化したエルフですわ」


 このシルフ村の村長は風の大精霊の恩寵を受けた村に相応しい人物にしようということになり、ウィンディさんが連れてきた風の精霊になったエルフのフィーネさんが選ばれた。

 ちなみに御歳1万歳を超えてるらしい。


 バケモノおばっ


「·····ッ゛!!??」


「あらあら、·····風の精霊の前で失言はやめないな?呼吸止めるわよぉ」


 ちなみに精霊の中で風の精霊が対生物で最強ね、大気の流動を止めて窒息死させてくるから。

 まぁ私は平気なんだけど。


(まぁいいや、それで?なんで副村長にフィルクスを?)


「あ、あら?声が聞こえて····· 頭に直接聞こえるわ?」

「そういうものだからな!ソフィは!!」


(どういうモノだよ、いやこういうモノだけどさ····· んで?なんでフィルを選んだんです?まだ一般常識も足りてないはずですけど)


「知識欲が貪欲で、精霊との相性も良いからですわね、それにこの村はヒトの住む場所ですわ、精霊が頂点では良くないでしょう?故にいつかヒトに引き継げるよう育成しているのです」


「そうだったのか!?俺は初耳だ!!」

「言ってるつもりだったのだけどねぇ」


(基本的に人の話聞かないですからね、コイツ)



 どうやらフィルクスが副村長に選ばれたのは、いつか精霊ではなく生物である人間に村営をやらせたいかららしい。


 そう言われた私は納得はしたけれど、本当にコイツで大丈夫かだいぶ不安になってきたのだった。



名前:ソフィ・シュテイン

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「·····というかフィル、村とか町って概念は理解してるよね?」


名前:フィルクス

コメント

「失礼な!俺の時代でもそのくらいあったぞ!!·····え?村と町の違いと定義はなんだって?知らんな!!!まぁなんかそういうモノなんだろう!!!」


名前:フィーネ

コメント

「あ、あらあら?·····風行きが怪しくなってきましたわね、ウィンディ様〜!このコ、本当に大丈夫でしょうか〜??」

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