異世界人が来たぞ!
ある日のこと·····
「くっそー····· モヤモヤするなぁ·····」
私は悩むほどではないけど、なんか気になって仕方ない事があってモヤモヤしていた。
例えばこう、急ぎじゃないんだけど秋くらいになってお風呂の配管掃除用の洗剤買っておかなきゃ、くらいの考え事がずっと続いてるような感じだ。
「ガイア様め····· 転生者が何人居るか教えてくれないからずっと悩む羽目になってるんだけど、あーマジむかつくわぁ」
その悩みは、転生者だ。
この世界には、私の上司であるガイア様が遊びでこっそり送り込んだ転生者が何人か紛れ込んでいる。
そして私に対して見つけたら報酬があるから探せって無理難題を押し付けられた。
別に見つけなくても良いんだけど、探さなかったらそれはそれで文句を言いに来るから困ってるのよ·····
「アイツ、3が好きだから絶対に3人は転生者が居るはずなんだけど·····」
そんで今のところ、2人は転生者を見つけている。
1人目は港町カイトブリガに住むフェルナちゃんで、死にかけていたところを助けて見つけた。
2人目は私が仕込んだ策にハマってくれて、わざわざ遠く離れた地から数ヶ月の船旅を経て来た、元ヨーロッパ人の女性(現男性)の転生者だ。
ちなみに彼は元の世界に帰った。
なんでもイタリアで美女をナンパするんだとさ。
·····それはさておき、ガイア様がたった2人のためにこんな面倒な事をするはずが無い。
ガイア様はifの私でもあるから何となくわかるんだけど、絶対まだ誰か隠してるはずだ。
それも奇想天外な方法で。
「だから見つからないのよねぇ·····」
『ヒントは欲しい〜?』
「んにゃっひょあっ!!?びっ、ビックリさせんなゴルァ!!」
って考えてたら、元凶に突然声を掛けられて驚いて飛び跳ねた。
その拍子に手に持っていたカプチーノが吹っ飛んだが、すぐに魔法で固定してカップにカプチーノを戻したからセーフだった。
『昔から驚いたら変な声出すの変わんないねぇ』
「いやアンタもでしょうが·····」
『そうだったわ、·····で、ヒントは?』
「答えをよこせ」
『欲深い貴女にはどちらも渡しません、ではさらば〜』
「あっ待てこんにゃろ!!くっそ····· 煽るだけ煽って帰りやがっ」
ピンポーン
「って入れ替わりで誰か来たわ」
ガイア様に掴みかかろうとしたけどスッと半分くらい消えて掴めなかった瞬間、インターホンが鳴った。
「·····ん?インターホン?あー知り合いかな」
が、少し違和感を感じた。
フシ町にある私の家にはインターホンが備えつけられている。
けれど、尋ねてきた町人はほぼ使ってくれない。
だってそもそもインターホンなんて無い世界だから、尋ねる時はドアをノックするか声で呼びかける事が当たり前だからだ。
·····オシャレを気取ってインターホンを付けたのに、誰も使ってくれないからわざわざ使い方とか書いたシール貼ってるんだけどなぁ。
ダサいから控えめにしたのが祟ってるなぁ。
「はいはい、今行きますy」
『たのもー!ウチは異世界人だ!!』
「『な、なんだってー!?!?』」
異世界人来たわ。
あとガイア様帰ってきたわ。
◇
そんでもって、自称異世界人だと言う少女を家のリビングにあげた私は、カプチーノ····· は飲めないらしくて牛乳を出してあげて話を聞いていた。
「で?ええと·····」
「ふふん、ウチは異世界人よ!探してるって聞いて来たわ!」
「は、はぁ·····?」
その子はだいたい10歳くらいの紫色の髪をして瞳は暗い緑色、肌の色は普通のたぶん普通の人間で、見慣れない制服を着てるのを見るとマグウェル魔法学校の生徒では無い学生のようだった。
「んで、どこからその噂を?」
「噂だからだけど?」
「うん?」
「ウワサでなんか異世界人を探してるって聞いたから来たんだけど?」
「そうなのか·····」
「そうなのよ?」
で、どうやら私が異世界人を探してるって噂を聞いて、ここまで来たらしい。
·····だいたいそれだけで分かるのよ。
ここまで尋ねてくるのはだいたい変人だって。
転生者じゃなくても、厨二病をこじらせて重症になって来たのだとしても、うん、目も当てられないけどキラリと光る面白さは持ってるはずだ。
「·····で、ガイア様」
『·····』
「ちっ、ちゃんとアレ言わないと答えくれないよなぁ」
私が言ったアレとは、転生者を見つけた時に『転生者みーつけた』と言わないと答え合わせしてくれないというルールだ。
ちなみに間違えたら命を奪われる。
だから1日3回までしか解答権が無いのよね、しらみ潰し作戦が出来ないから面倒だわぁ。
コレのせいでもう30回は死んでるし、突然『転生者みーつけた』って話しかける怪しいオバチャンだから何度も警備隊に追いかけ回されてるし·····
ちなみに1回捕まった。
「ってか異世界テンセーなんて古典文学、私よく知ってたなぁ·····」
「ん?古典文学って····· ええと、前世に関する知識は?」
「前世?あー、えっとー·····」
「あっこれ厨二病だ」
「違うっ!!」
で、前世に関する事を聞いたら突然口ごもった。
そこで私は、この子がただの厨二病だとほぼ確証した。
この世界には異世界転移したり転生した人の話がある·····
というか、転移者は校長先生とその仲間たちが魔王を倒した話でかなり有名で、転生者は私の話が有名だから、厨二病の患者がその名を騙ってる事がよくあるのよ。
アレよ、✝︎漆黒の騎士✝︎みたいなやつ。
見てるこっちが共感性羞恥で恥ずかしくなってくるわぁ·····
「·····前世無いの」
「はい?」
「ウチ、週刊『次元転移装置を作ろう』ってアレ作ってたんだけど、中途半端でやめてて思い出したから途中から自作してたんだけ」
「ちょいちょいちょいちょいっ!!?まっ、何それッ!?出版社どこ!!?·····じゃなくて、はぁ!?あっ続きどうぞ」
「え、はぁ·····?それで市販の超能力制御デバイス」
「待って話追いつけない·····」
「·····と、ジャンク品の銀河間航行の超光速空間移動装置から部品取って何とか組み立てたんだけど、動かしたらいつの間にか
あっ、ダメだこれ私の手に負えない。
「へ·····」
「へ?」
「ヘルプミー、ガイア様ァー!!!」
私は神頼みした。
というか上司に問題をぶん投げた。
ちなみにアイツ、話が拗れ始めた時点で逃げてやがった。
名前:ソフィ・シュテイン
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「くそ、どこ行きやがったあんにゃろ!!お前が始めた物語だろ!!」
名前:ガイア
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「呼ばれて出てくるバカなんて居る訳ないでしょバーカ!!·····あっ私か、私バカだわ」
名前:???
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「異世界テンセーって事実だったんだ、納得だわー」




