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異常気象?


 ぽつっ


  ぽつぽつっ·····



「うん?雨降ってきた?予測だと曇りだったと思うんだけどなぁ·····」



 フシ町で夕飯の買い物をしていると、突然雨が降ってきた。

 私の予測だと今日は降らないっぽかったんだけど、どうもアテが外れてしまったようだ。



「まぁ天気予報なんて無いし、経験則的に今日は降りにくいって思っただけだし仕方ないか」



 私の天気予想はだいたい70%程度の確率で当たるから、予想でも何でもないんだけれど。

 でも一応、雨の匂いとか遠くで降ってるのが風向きでこっちに来るとかはわかるから、完全な当てずっぽうという訳でもない。



「今日みたいに突然降るパターンとかはわからないんだよなぁ·····」


「なぁ、雨降ってきたからかそこの商品、店ん中入れていいか?」

「あっすみません」



 ·····と、雨避けの魔法を掛けようか箱に入った新鮮野菜を品定めしながら考えていたら、商品を仕舞おうとした店員の邪魔になってしまった。


 私は慌てて良さそうな野菜を見繕って、店員と一緒に店の中に入っていったのだった。




「毎度ありがとうな、雨降ってきたから気をつけろよ」

「はーい、ではまたー」


 ザアアァァァ·····


 数分後、買い物を終えた私は雨も本降りになってきたからダラダラ買い物をするのはやめにして帰路に着くことにした。


 本当はなんか面白いものでも売ってないかぶらぶら見て回る予定だったけど、必要なものは買えたから良しとしよう。



「雨避け展開、うーんほんと便利だなぁ」



 ちなみに今日は傘を持ってきてないし、折り畳み傘もこの世界だと売ってないどころか普通の傘でさえ高級品だ。

 だから雨具といえば基本はレインコートとかなんだけど、私は別の手段の雨具を使っていた。


 それが雨避けの魔法で、体の周囲に水を弾く領域を展開するオリジナルの水属性魔法だ。



 まぁ似た魔法はあるんだけど、それは基本的に頭上に傘を作る無属性の結界魔法だ。


 で、この魔法は調整をミスると人間の皮膚などの水分や最悪の場合は血液まで弾いて外に出そうとしてしまい、とんでもない事態になる。


 一応だけどこの魔法を展開できる魔導具なんかも売ってるけど、作るのが難しいからとんでもなく高い、一般人はほぼ使えない魔導具だ。

 ちなみに棒の先端から円形の物理障壁を展開する傘みたいな魔道具なんかはそこそこ安いから、3割くらいの人は使ってる。



「雨で濡れて汚れなくなったから、雨も割と好きな天気になったなぁ·····」



 そして私はその最上級の魔法を使ってるお陰で、雨の日の嫌なところの大半を克服できて好きな日になった。


 雨の日の何が嫌かって、やっぱり濡れて汚れる所だろう。

 それがなくなれば、雨音が軽快なリズムに聞こえてくるし、気温もちょうど良いくらいになる割と良い天気になるし風情もあって好きだ。



「風情があっていいよね、この乾いた地面が濡れていくのも····· うん?なんか乾いた地面多くない?」



 ·····と思っていたけど、なん今日の雨は変だ。


 家の方に向かってるんだけど、さっきから地面がやたら乾いてて数分間雨が降ったとは思えない、たった今降り始めたくらいの感じがずっと続いていた。



 たまにあるよね、雨が追いかけてきてるんじゃないかってくらい自分と雨雲の進む方向が同じな事。



「·····いやいや、いやいやいやいや!おかしいって絶対!明らかに私の所だけ雨降ってるでしょこれ!!」



 だけど、今回は違うようだった。

 明らかに雨がついてきてるし、私の周囲だけ降ってるっぽい。



 大通りに出てみたらもちろん地面は乾いてたし、なんなら10mくらい先の人が雨に気がついたかのように雨宿りを始めたり店先の商品を仕舞い始めてるんだもん。

 で、20m先にもなれば前後共に普通の曇天と同じように普通に人が歩いてる。


 ·····うん。

 絶対なんか変だ。



「こりゃアレかな、魔力のせいだな」


 こういう訳のわからない現象の9割は魔力が原因だ。

 魔法も魔力も、学校にいた頃にしっかり勉強して今でも研究してるのに本当に訳が分からない。


 なんで私の上にだけ雨が降るんだよ·····



「はぁ····· これ以上居ると迷惑だろうし、町の外でも行くかぁ·····」



 私の周囲だけ雨が降ると私が居るだけで迷惑になるから、私はとりあえず迷惑をかけないよう町の外に行く事にしたのだった。





「·····やっぱりついてくるよね」



 というわけで、飛行魔法を使って門をスルーして外壁の外に来た訳だけれども、やっぱり雨はついてきた。


 ちなみについてくる速度は割と遅く、私の飛行魔法の速度について来れなくて結構遅れてから雨が降り始めた。

 どうもせいぜい普通に走るくらいの移動速度しか出ないようだ。



「という事は、私の真上の雲だけ雨雲になるっていうよりも、原因の何かがあって追いかけながら雨を降らせてる感じかな?」


 もし私の直上の雲から雨が降るという現象なら、どんな速度でも真上から雨が落ちてくるはず。

 でも後から追いかけるように雨のエリアがやって来るのなら、何か雨を降らせる原因となるモノがあってそれが移動してると考えるべきだろう。



「というか、雨が結構強くなってきたな····· 移動してないと強くなってくるのかな」



 そして移動せず観察してると、どうも局所降雨は移動せずに居るとどんどん強くなってくるようだ。


 現に、最初は傘さすかなぁ·····くらいの雨で、ちょっとの距離を移動するくらいなら要らない程度の雨量だった。

 でも今は降水量30mm、いわゆる土砂降りの大雨になっていた。


 もっと放置してたら、滝のような雨になるんじゃないかな?



「まぁそうなる前に解決するけど」



 割と珍しい現象だけど、あんまり長く続くと良くなさそうだからさっさと対処してしまおう。



「下からだと分からないなぁ····· やっぱり行くしかないよね」


 私は飛行魔法を再び発動し、だいたい500m上空に浮かぶ雲へと接近してみた。

 そして近くから魔力を見れる目に切り替えて状況を確認してみると、割とあっさりと原因らしいモノが見えた。



「あー、水属性の魔力がだいぶ溜まってるなぁ····· なんか強めの水属性の魔物でも死んで、魔力がそのまま上空に行った感じかな」



 どうも雲の中に結構な量の魔力があるらしい。

 この世界だと、魔物が死ぬとたまに魔力を体の外に放出してしまう事がある。

 魔力を貯める器が壊れてしまったり、死後に肉体が保てない魔物なんかがこうなる事が多い。


 今回は水属性の魔力が溜まってたから、たぶん近くにある富士五湖的な湖とかにいた強めのスライムが死んで蒸発、魔力が雲に蓄積された感じだろう。



「で、私の強力な魔力波に反応しちゃって、勝手に水生成魔法が発動して雨が降り始めた····· みたいな感じかな」



 魔法の発動は、自分の体内に蓄えた魔力や空間に漂う魔力に大して自分の魔力の波形を当てて振幅変調を行い、さらに魔法を形作る波形を合成して行くことで魔力を現象へと変える事で発動している。


 んで私みたいに強力な魔法使いなんかは、外部の魔力に影響する力がかなり高いが故に、高濃度の自然魔力があると勝手に魔法を誘発させることがある。



 過去に爆破魔法が勝手に発動して、空の彼方まで吹っ飛ばされた事あるし·····



「まぁ雨で良かったかな、んじゃ魔力を拝借して·····『水球』っと」


 そしてこういう現象の解決方法は、溜まった魔力を自分の制御下に置いて魔法に変えてしまうのが手っ取り早い。

 散らすとかも出来るけど、こっちの方が早くて楽だ。



「おー、プール1杯分くらい出来たわ、·····ついでに周囲の雲の水分もだいぶ持っていったから薄ら晴れたし」



 そして水の玉を作る魔法を使ってみたら、周囲の雲から水分を集めて巨大な水玉が出来たし、雨もピタリと止んでしまった。


 やはり原因はこれで間違いなかったみたいだ。


「ふぅ、とりあえずこの水は····· 川に捨てとくかな、いや水量結構あるから一気に捨てると鉄砲水になっちゃうか、んじゃ近くの湖にでも入れるか·····」


 ただ、出来た水の量が結構多くて微妙に処分に困っていた。

 川に捨てたら鉄砲水になるし、かと言ってそこら辺に捨てる訳にもいかない。



「うーん····· あっそうだ、そろそろ暑いしプールでも開こうかなって思って洗って空にしてあったからそこに入れておくかな」


 で、都合よく空っぽのプールがウチにあったから、多分だいぶ余ると思うけどそこに入れることにして、家のある異空間へと帰って行ったのだった。




名前:ソフィ・シュテイン

コメント

「雨を降らせる魔物とかだったらなぁ、ディメンションルームにある農園の水やり係にしたかったんだけど、そう上手くは行かないかぁ」

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