魔法学校の先生のお仕事 Part2
魔法学校の昼休みが終わり、自分で作った弁当を食べ終えた私はまた教員の仕事をしていた。
·····今回は、日本とあんまり変わらない先生の仕事じゃなくて、ちゃんと異世界の魔法学校らしい仕事だ。
「ねーせんせー、これ魔物の痕跡?」
「先生が教えたら授業の意味無いでしょ?」
「ちぇー、そっかー」
午後の授業は、7年B組の校外実習で街の外での魔物討伐の実習だ。
といっても私は教える先生ではなく、授業の補助で手伝ってるだけなんだけどね?
この実習は魔物を探して魔法を使い倒すという授業内容で、マジで危険な町の外に出て行っている。
いくら命の重さが軽くてよく人が死ぬこの世界の特に危険な事をするエリートクラスのB組といえど、超エリート校に通うマジの貴族の子供たちを命の軽々しく失わせるわけにはいない。
だからこそ、私みたいな非常勤講師が雇われている。
この実習には1クラス50人が参加していて、5人で1つの班を組んでいるから10組ある。
で、全班別行動だから担任の先生1人では監視の目が足りない。
そんなわけで学校が実力者を雇って非常勤として働かせ、更に冒険者ギルドからも人を雇って実習の監視をしてるのだ。
「うーん、わかんねー!」
「でもなんか、これ鹿の足跡っぽくない?」
「魔力の痕跡がないから魔物じゃないかも」
「ゴブリンとかじゃないよね、たぶん」
「獣型の魔物?それとも普通の動物?どっちだろ」
んで私は3班に付いて行っていて、でも手出しも手助けもしないよう見守っていた。
ちなみに先生が助けた時点で成績はほぼゼロになるシステムで、もし超危険な魔物が突然でてきた時はゼロにはならない感じになっている。
「気をつけるんだよー、危険な魔物か倒せる魔物かも痕跡の時点で見極めるんだからねー」
『『はーい』』
で、この授業の本質は魔物の討伐もあるけど、同時に『自分たちだけでは勝てない魔物の見極め』にある。
この世界には、特にフシ町やマグウェル町があるこのフシ盆地には強力な魔物が多数出現し、更に普通の魔物も大量に生息、出現している。
そして将来的にエリート魔法使いになる魔法系学科最上級クラスであるB組の生徒は、いつか魔物を倒し人を護る仕事に就く事が多い。
だからこそ、プロの魔法使いは探してる相手の強さを痕跡の時点で見極めて適切に判断し、無理そうなら倒さず状況により対応を変える必要がある。
だってそうしないと死ぬから。
「んー、これ鹿だな」
「鹿ね」
「シカでした」
·····どうやら私が付いてきてる班が見つけた痕跡は、ただの鹿の痕跡だったようだ。
ここは異世界だけど、全部の生き物が魔物な訳では無い。
普通に鹿とかイノシシとか熊が生息してるし、同種の魔物と普通の生き物が共存してる事も多々ある。
「野生動物だったからって油断は禁物よー、鹿でも気性が荒いと襲ってくるし熊はゴブリンなんかよりずっと危険だからね」
『『はーい』』
ちなみに、魔物の方が無条件に強いかは無くて普通にゴブリンよりクマの方が強い。
私もクマに襲われて頭吹っ飛ばされた事あるし。
「あっやべ、口出しし過ぎたかな····· んじゃ皆頑張るんだよー」
·····私っておしゃべりな性格だから、ついうっかりヒントを出してしまったので黙って付いてくことにしたのだった。
◇
そんなこんなで、私が見てる生徒たちは無事に魔物のナヨス····· 日本で言うところのキョンに似た牙の生えた鹿に似た魔物を討伐できて、一旦休憩でお昼にしていた。
「なーせんせー、オレたちって早く倒せてた?」
「今日は結構早かった気がする」
「うんうん」
「まぁいつも割と苦戦してたからねぇ、ちなみにまぁまぁ早いかな?って感じだよ」
『『おおー』』
この子達の森に入って捜索を初めてからの討伐の時間はだいたい40分。
種類問わず探したとなるとちょっと遅いかもだけど、この子達は割と探すのが苦手で1時間以上かかるし見つけられない事もあるって聞いてたから早い方なのだろう。
·····ちなみに、フシ町やマグウェル町のあるフシ盆地は、近くにドラゴンが住んでる標高4000m越えの成層火山の霊峰があったり、中央構造線があってそれが魔力の流路になってて更にここは複数のプレートの衝突地点な事もあって、魔力が特異的に多い。
故に魔物がめちゃくちゃ多くて更に全体的に強いから、魔物との遭遇率も必然的にものすごく高い。
でも魔力量が多い事はデメリットばかりじゃなくて、魔法や魔道具の研究にはもってこいな場所で、魔物が多いから倒す冒険者も沢山集まってるから経済も良く回る良い場所だ。
「でも早く倒せる事がいい事って訳でもないよ、1番はしっかりと敵を見つける事だから、時間をかけて探すのも大切よ?冒険者とかだと1匹の獲物を見つけるのに数日かけることもあるし」
「すげー!」
「じゃあじゃあ、もっとゆっくりでもいいってこと?」
「·····これは授業だから早く見つけてね?成績下がるし」
「先生、先生が探すとどのくらい早く見つけられるの?」
「3秒」
「はっやー!」
「さすがはSランク冒険者」
「ん?見つけて倒すまでよ?これでも割とゆっくりだけど」
『『·····すげー』』
私くらいになると、超広範囲の魔力レーダーとか千里眼が使えるから、魔物探しが楽だし移動も早くて転移とか使えるお陰で索敵から倒すまで一瞬で終わるのよ。
「まぁ私みたいなのは異常だから気にする必要は無いよ、それに·····」
「それに?」
「このクラスにも若干2名くらい壊れてるの居るから、アレと比べたらダメよ?」
『『知ってまーす』』
「·····だよね」
ドゴァァァァアアアンッ!!
バギャメギバギボギッ!!
グギャァァァアアアッ!!?!?
「·····噂してたら出てきたし」
「あっ!おねーち····· センセー!見てー、ファイアブリザード倒したよ!」
噂をすれば、7年B組のぶっ壊れ生徒1人目が出てきた。
ついでに彼女に負けたであろう無惨なファイアブリザードも彼女より一足先に森から転がり出てきた。
で、その少女はふんわりした金髪を揺らし、体の背後に太陽のように光る光点をいくつも輝かせて森の中から現れた。
少女の名は『イデア・シュテイン』。
「全く、派手にやるなぁ·····」
「んへへっ」
その名前からわかる通り、私、ソフィ・シュテインの関係者····· というか15歳差もある妹だ。
ちなみに現在のマグウェル魔法学校で最上級生を超えて最強と言える生徒だ。
その理由が『イデアの炎』という彼女の固有能力で、哲学に出てくる『イデア』そのものを扱える能力だ。
簡単に説明すると、彼女は4次元世界から3次元世界に影絵のように影を投影することで、3次元世界に物質や魔法を呼び出すえげつない力だ。
しかも神の炎も使えるから、この年で弱いドラゴン程度なら1人で圧倒できる程に強い。
ちなみに歴戦の先生である校長先生でさえ軽く匙を投げるほどの天才でもある、文武両道な少女だ。
·····ちなみにちなみに、私はその校長先生が匙どころか包丁ブン投げてくるくらいの天才問題児だったけどね。
「それ倒すとか凄いじゃんCランクの魔物よ?」
「んっへへ、私にかかればラクショーだから!」
なお、イデアが倒したファイァブリザード····· じゃなくて炎トカゲの魔物『ファイアリザード』は冒険者ギルドのランク付けでCランクに格付けされる危険な魔物だ。
まぁ単純に炎を吹くから森が燃えて危険だからCランクの危険度にされてるけど、実際の強さはDランクくらいだ。
でも7年生の子供が普通は真正面から戦って勝てるような相手では無いのだけは間違いない。
「やっぱりイデアは強いn
『ちょーっと待ったー!私の方がそんなのより凄いわ!!!』
「うげ·····」
「うわもう1人面倒なのきた·····」
·····と、イデアを褒めようとしたら、このクラスに居るイデアに匹敵する少女も森の中から出てきた。
名前:ソフィ・シュテイン
コメント
「イデアは私に似てめちゃくちゃ強いし頭も良いんだけどなぁ、私に色々似て問題児だからなぁ····· まぁ娘のフェニカもなんだけどね!あっはっは!·····なんか、代々迷惑を掛けて申し訳ないわぁ」
名前:イデア・シュテイン
コメント
「あっ!これ久しぶり!やっほー!」




