コミュニケーションは大事
「いっててて·····」
結論から言うと、私はエルフさんに頭をカチ割られた。
でもそれで許してくれたっぽい。
そんなわけで私は今、現代に蘇った600万年前のエルフとコミュニケーションを取ろうと頑張っていた。
「·····Hao? golopindAsib Moinbels???」
「うん?·····あぁ頭のハンマーが大丈夫か聞いてるっぽいかな」
ちなみに頭にハンマーが刺さったままだけど、なんかエルフさんに心配された。
身振り手振りで私に頭が大丈夫か聞いてきてたのが分かったから今回は言葉は不要だった。
んで私は別に頭カチ割られてハンマー刺さってるくらいじゃ死なないし、·····他の人が見たらビックリするけど意外と平気なのよね。
でも今回は話が進まなそうだから引っこ抜いて治しておくとしよう。
「っづぁいでででっ、『ヒール』っと、えーとそれで····· うーんどうやってコミュニケーション取ろうかなぁ」
「Haibnef Oklinp?」
「あーちょっと待ってね·····」
で、ここで私の裏話なんだけど。
実は私、世界中の全ての言語を話すことができるという地味な凄技がある。
というのも、この能力は『アカシックレコード』へのアクセス権が元となっていて、世界中の言語データの中から探して呼び出して私にインストールする事で、どんな言葉でも喋る事が出来るようになると言うのが本性だ。
·····んでここからが問題なんだけど、現代で使われてる言葉だったり相手の出身地とかが分かれば、数分でインストールして言語を切りかえられるのだけど、分からないと時間がかかってしまうのだ。
この世界では現在使われてる言語は1万近くある。
まぁ似た感じの言語、英語とイギリス語くらいの差しか無い言語が大半だからそこら辺を分類すると3000くらいしかない。
·····で、過去に使われていた言語の数は50万を軽く超える。
分類しても軽く20万はあるし、時代によってかなり変わるから同じ言語でも伝わらない事も多々ある。
いまこの世界で最も使われてる統一人類語でも、発明された3600年前から比べるとかなり変わってしまっているレベルだ。
だからこのエルフが使っている時代の言語を探すのは超大変って訳だ。
「むーん、見つからん·····」
「JoHolkia Mtiqanses Ilkiq?」
「ちょーっと待ってね、今探してるから」
ただ、普通に一つ一つ探すより早く見つける方法も一応ある。
今やっているのは、エルフ言語系統を抽出してその中から更に今この人が喋ってる言葉を類似検索して候補を調べてる所だ。
今までも似たように言語が分からない人を拾った事があって、本格的に分からないからこの方法を使って調べたことがある。
だから今回も行けるだろう。
·····たぶん。
◇
30分後
「無理だこれ!!!」
うん、無理。
流石に現代の言語と過去全ての言語ではレベルが違いすぎた。
現代のスーパーコンピュータでさえ小学生とスーパーコンピュータの計算速度くらい差があるアカシックレコードの演算能力を活用しても、この人の言語は見つからなかった。
いや、候補は3000まで絞り込めたし3割くらい伝わる言語は見つけたんだけど、そこから先が全く分からなかった。
だから最終手段を使わせてもらう。
「あー、もう仕方ないから最終手段使うね」
「最後 方法 なに?」
「·····無理やり現代の言葉を君の頭にブチ込ませて貰うよ」
「what」
その方法とは、無理やり現代の言語を覚えさせる事だ。
ちなみに倫理観を問わなければ1番これが効率が良い方法で、現代の人の誰も分からない言葉を私だけが分かっても意味が無いから、逆にこの人の言語をこっちに合わせる方が効率的だからだ。
·····まぁ、流石に倫理的に結構問題があるから私でも最終手段にしてるけどね。
ちなみに過去に数回やった事があって、1人はエルフの国から村がワイバーンに壊滅させられて1人だけワイバーンに捕まってこの国まで来てしまったエルフに、もう数人は私たちなかよし組のメンバーに日本語を教えるために使った。
「·····ただ、この方法結構問題があるのよねぇ」
「なにが?」
そんな夢とか魔法みたいに瞬時に言語をマスターできる方法だけれど、当然倫理的なところ以外にも問題点がある。
それは·····
ぐわしっ!
私は両手でエルフの頭をがっちりと掴み、魔法で両手足を拘束した。
「インストールする時、頭がカチ割られるくらい痛くなるし記憶を掻き乱される不快感がするのよね、それこそ周囲関係なく転げ回るレベルで」
「へっ?えっ??」
「記憶、強制書き込み開始」
「っぱぎゃあがぎゃぎゃぎぃぃぃぃっ!!!?!」
次の瞬間、エルフさんは体をマグロめいて痙攣させてのたうち始めた。
そしてしばし暴れた後、耐えきれなくなったのか失禁の後意識を失ったのだった。
◇
そして約1時間後、記憶の書き込みと整理が終わったエルフの彼女が目覚め、ようやくコミュニケーションをとる事が出来るようになった。
ちなみに服は元々着てなかったからセーフだっし、ついでに新しく着せておいた。
「〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!」
「わーかったわかったって!!悪かったから!こっちが色々悪かったから!!!」
·····が、彼女はカンカンにブチ切れて私を殴り回していた。
まぁ今回は素手だからそんなに痛くないけど。
「というか、石化してたのを解除してあげた恩で十分以上に相殺できるでしょ!!この恩は忘れたのっ!!?」
「だとしても、だっ!!石化の解除は····· 癪に障るが里に帰れば誰でも出来る事、その程度で、さっきの事と性転換させられた事が相殺できるかぁっ!!」
怒っている理由は、やはり性転換させちゃった事と記憶を無理やり書き込んだ事らしく、相当に怒っていた。
·····ただ、どうも状況をあまり理解出来ていないようで、普通に常識的な範囲の時間で蘇ったと思っているらしい。
「·····あの、貴女」
「フィルクスだ、貴女って呼ぶな」
「フィルクスさん、君がどれくらい石化してたか理解出来てます?」
「分からないが、見慣れない様式の部屋だから遠くに運ばれたに違いない、だとすると数ヶ月から数年といったところか?」
洞察力はそこそこあるんだけど、流石に石化してた期間が常識外れだからそこまで考えが及ばなかったようだ。
まぁ、仕方ないよね、推定600万年間石化してたなんて誰も思わないもの。
「·····約600万年」
「は?」
「フィルクスさん、貴方は600万年間地中で眠り、私が地層の中から発掘して奇跡的に助けられた、世界でも類を見ないほど長く石化していたんです」
「まて、どういう·····」
「そのままの意味ですよ?貴方はタイムスリップしたんです、600万年後の未来へ」
「な、なん····· どうしてだ·····?」
「たぶん奇跡ですよ?普通はこんなに長く石化してたら死んでますからね」
「·····じゃあ、里の皆は」
「もうとっくに、皆亡くなっていると思いますよ、それに貴方の種族『北国エルフ』自体もう既に存在していないレベルの未来ですから」
「そん····· な·····」
残酷な真実を知らされたフィルクスさんはあまりにも残酷な真実に耐えきれず、膝から崩れ落ちて動けなくなってしまったのだった。
そして彼女がその状態から現実を受け入れるのに、割とかなり長い時間を必要とした。
名前:フィルクス
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「·····ところで、俺の陰部は?」
名前:ソフィ・シュテイン
コメント
「あっ、えーっと、その〜····· そうだ、長いこと地中に埋まってたんで風化で摩耗して無くなってたんですよ!ほら、化石とかって出っ張りから先に風化して無くなるって言いますもんね!·····って言い訳じゃダメです?あっダメですかそっすか、·····命だけはご勘弁を」




