アレってなんて名前だっけ?
久しぶりにメールを読み返していたら、友達が考えてた小説を好きに使っていいというメールを見つけたので、書いてみました。
勝手に使ってるけど許せ、友よ。
「ねぇエビちゃん」
「む?なんじゃ?」
私は異次元の狭間に存在する、私が魔法で構築した自宅の『ディメンションルーム』のリビングのソファでスマホを見て寛ぎながら、ルームメイトで親友で義姉のエビちゃんに話しかけた。
「私アレ食べたいんだけど冷蔵庫に入ってたっけ?」
「アレって言われても分からんのじゃが?」
「アレだよアレ、あのー····· アレ」
「語彙力死んどるのぅ····· てかお主、なんの説明もないまま進めようとするんじゃ無いのじゃ」
「·····あ、やべ」
1話なのに色々説明し忘れたから今から言うけど、この小説はいわゆる『異世界小説のスピンオフ作品』だ。
·····どっちかと言うとオマケのアフターストーリーかな?
まぁそこはどうでもいいんだけど、この小説は『既に主人公が色々やった後で色々もう整ってる状態』から始まってるって事だけ覚えて置けばいいからヨロシク。
ちなみに、私は女神でそっちのエビが魔王だ。
いや頭おかしい人だって目で見ないで?
いや実際そうだけど、メタい話してる時点で頭おかしいけど、これにも理由があるのよ?
この世界では『神』とは『4次元超立体次元の生命体』で、私は本編の方で色々あって神になる羽目になってて、こんな事になってるのよ。
んで、4次元は多数の3次元空間を内包してるから、画面の向こうの世界も私は認知出来てるという訳よ。
まぁ後の事とかエビちゃんの事はまたその時になったら言うとして·····
「アレ無いっけ·····」
「だからアレって何じゃ」
「名前思い出せない·····」
私はアレの名前を思い出せないでいた。
クソどうでもいいけど、アレが食べたいんだけど名前が出てこない。
形とか味も頭に浮かんでるんだけど、どうも名前だけ出てこない。
よくあるよね、こういうこと。
◇
「むーん·····」
そして10分後、私はまだ思い出せずにいた。
「お母さん、まだ思い出せないの?」
「そうなのよ····· いい加減ボケてきたかなぁ」
「おいアカシックレコード保有者、その程度の事忘れてどうするんじゃ、仮にも神じゃろ」
「むぐぐ·····」
ちなみにアカシックレコードはアレね、この世界には世界の記録書庫と世界の演算装置の2種類あるんだけど、私は後者の演算装置、いわゆるとんでも性能のコンピュータが私の脳みそなのよ。
だから私、超頭いいしボケるわけが無い。
「でもでも現にアレ?の名前忘れてるでしょ?」
「ぷぷ、お主ももう歳じゃのぅ」
「あ゛ぁん?てめぇ前世含めたら3628歳は超えてるだろババァ魔王!」
「はぁ?貴様こそ前世含めたら55歳じゃろ、このくそババア!」
ぶちっ
ブチッ
「「やんのかテメェ!!」」
「あーあ、またお母さんとエビおかさあん喧嘩始めた·····」
私がエビちゃんと喧嘩を始めたから解説に戻ると、実は私とそこに居るエビちゃんは転生者だ。
私は元々普通の日本人男性だったんだけど、お約束のようにトラックに撥ねられて異世界直葬だった。
そんで、今私が顔面をぶん殴ったエビちゃんは約3600年前の魔王『エヴィリン・アマイモン・ファゴサイトーシス』で、この星最後の魔王だった男だ。
ちなみに死因は勇者達だ、もちろん勇者達は日本人ね。
·····んで、2人とも前世は男だった。
でも何だかんだあって私たちは女性として産まれ変わり····· エビちゃんは復活って言う方が近いけど、色々あって私はエビちゃんと仲良くなり、彼女は私の兄と結婚して今では義姉になっている。
ちなみに仲は割といい、しょっちゅう喧嘩するほどね。
「あれフェニカ、お母さんは?」
「あっお父さん、お母さんは····· アレしてる」
「あぁ····· いつものかぁ·····」
んでこの2人はというと、私の夫のフィーロと娘のフェニカだ。
ちなみにフェニカ以外にも4人子供が居る。
あぁまってブラウザバックは待って、ヒロインが人妻だからって帰らないで。
これには深いわけがあるの、本編だと転生して生まれ変わって、同じ魔法学校に通う友達からどんどん発展していって大恋愛の末に結婚して子供が出来たりしたっていう、良いストーリーがあったりしたのよ。
·····まぁ、1人はほぼ私のクローンだけど。
ちなみに今私の顔面に10回拳をぶち込んで来たエビちゃんは3児の母だ。
それともう1つ、フィーロ君が出てきたってことはそろそろ喧嘩もお終いだ。
「2人ともー、いつまで喧嘩してるの?そろそろ終わりにしなよ」
「ふん、これくらいで許してやる」
「·····おい、それ顔面ボコボコで言えたセリフじゃないのじゃ」
私はエビちゃんに顔面ボコボコにされながらも、彼に言われたからあっさり喧嘩をやめたのだった。
·····というかエビちゃんとの喧嘩はじゃれ合いみたいなものだから、元々あんまり怒ってないけどね。
それに殴られた衝撃でアレの名前思い出したし。
「ふぅ、スッキリしたわぁ」
「うわコイツ殴られてスッキリとか言っとるのじゃ、ドMじゃドM」
「いや元々死んでも生き返るし再生できるからドM超えてるけど?」
「そうじゃったコイツ、本物モンのドMじゃった」
ちなみに割愛するけど、私は1日3回までなら生き返られるし、頭とかさえ残ってればそこから瞬時に体を再生できる回復魔法持ちの捨て身殴り魔法使いだ。
んで私はその力を使って、自分も相手も両方の血で血塗れになる戦い方をしてるSランク冒険者で、痛みに慣れすぎたドM冒険者でもある。
·····そんなんだから、『血塗れの賢者姫』とかいう厨二すぎて恥ずかしい2つ名付けられるのよね。
「それはさておき、アレの名前思い出したわ」
「だからアレってなんじゃ·····」
「牡蠣とか?」
「いやそんな訳無いじゃろ、こやつの事じゃからラーメンとかハンバーガーとかモルルムチッチョとk」
「あっフィーロ君大当たり!そう牡蠣、牡蠣食べたかったのよ、当たり当たり、牡蠣で大当たりよ」
「は、はぁ?なんでフィーロお主分かったんじゃ」
「何となく?·····というかソフィちゃん、牡蠣で当たりとか言ってると大変な事になるよ?」
「え?大丈夫でしょ、それより今日は夜に牡蠣パーティにしよっか!」
「お、ええのぅ!ワシも食うのじゃ!」
「嫌な予感しかしないなぁ·····」
「·····私も嫌な予感するから、お母さんだけ食べたらいいんじゃない?」
そんな訳で、私はようやく思い出したアレこと牡蠣を夜ご飯にするため、早速仕込みに入ったのだった。
ちなみにこの後本当にノロウィルスに大当たりして上も下も色々ジャックポットしたから、この後のことは割愛する。
いくら最強の転生者でもね、ノロウィルスには勝てないのよ。
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:28歳
コメント
「·····私ってフラグは必ず回収しないと気が済まないし、ギャグ補正が高すぎてこうなる運命なのよ、あーヤダヤダ」